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死んだ夫と生きてる妻との旅を描く【映画レビュー】『岸辺の旅』あらすじ&感想(ネタバレ無し)

2021/02/11

TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『岸辺の旅』を観たので、その鑑賞記録です。

映画『岸辺の旅』

あらすじ

夫が失踪してから3年、薮内瑞希(深津絵里)はピアノの家庭教師で生計を立てながら、孤独を胸に抱えつつ静かに暮らしていました。

ある日、今の生活のやりきれない思いを忘れようとするかのように、無心に台所で白玉団子を作っていたときでした。

何かの気配がしたような気がして、振り向いた瑞希の目の前に、フラリと夫の優介(浅野忠信)が現れたのです。

あまりに突然のことで、驚きも嬉しさも通り越した気持ちで呆然と見つめる瑞希に向かって、彼はまるで当たり前のことのように告げます。

「俺、死んだよ。」

心を病んでいた彼は、死を意識しないままにいつの間にか海の底へと身を沈めて、苦しみを感じることもなく命を落としたのだと。

まるで思い出話のように自分の死を語る優介の様子は、以前のままのようでありながら何かが違うようで。

かといって幽霊のように不確かなものではなく、しっかりと生きた体を持って見える彼の言葉を瑞希は不思議と静かに受け入れることができました。

そして優介の、

「俺と一緒に来ないか?あちこち綺麗な場所があるんだ。」

という言葉にも素直に従い、2人は一緒に旅に出かけるのでした。

映画『岸辺の旅』

優介は死んでから家へ帰り着くまでの3年の間、あちこちで人に出会い、いろんな景色を見てきたと言うのです。

そんな景色を瑞希にも見せたいと、彼のたどった道程をさかのぼっていく2人の旅。

その中で瑞希は、寂れた新聞屋で一人で配達を続ける老人(小松政夫)や、田舎町の中華料理屋の夫婦、そして山奥の農村で暮らす人々など、優介が世話になった人達に出会い、ふれ合いを持ちます。

映画『岸辺の旅』

そして旅先で優介が見せる顔は瑞希が知らなかった一面ばかりで、初めて知る夫の様子に驚いたり嬉しさを感じる瑞希。

「私、今が一番好き。」

そう言って、この2人の生活がいつまでも続くことを願う彼女でしたが、やはり死者である優介がいつまでもこの世に存在し続けるのは許されないこと。

やがて、旅の終わりがやってくるのでした。

映画『岸辺の旅』

感想

死んだ人間が現世に現れるという映画は、近年では『ささらさや』や『想いのこし』のようなコメディー系が多いですが、この『岸辺の旅』はコメディーではなく、もちろんホラーでもありません。

といっても黒沢清監督の独特の味と言いますか、やはり画面から何か得体の知れない違和感が感じられるシーンも多く、そういう点は何となくホラーのような印象もありますね。

この映画で登場する薮内優介は死者でありながら肉体を持ち、普通に食事したり寝たりして、見たところは生きた人間と何の変わりも無いところが、他とは変わってるなとまず感じました。

死んでる夫と生きてる妻との2人の旅物語は、とりわけ大きな盛り上がりも無く、静かに淡々と描かれていきます。

そしていくつかのショートストーリーの積み重ねの中で、夫婦の間の思いや悲しみや幸せのあり方、そして死について感じさせるお話です。

2時間以上の長尺をユックリと描いているのにもかかわらず、飽きさせることも無く、観終わった後に胸の奥に悲しさのような優しさのような何かがジンワリと残る映画でしたよ。

作品データ

●監督
黒沢清

●出演者
浅野忠信
深津絵里
小松政夫

●日本公開年
2015年

●上映時間
128分

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