落ち目の脚本家の人生再生を描く【映画レビュー】『Re:LIFE/リライフ』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/01
TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『Re:LIFE/リライフ』を観たので、その鑑賞記録です。
あらすじ
15年前に『間違いの楽園』という誰もが知る傑作を生み出し、アカデミー脚本賞を手にした映画脚本家キース・マイケルズ(ヒュー・グラント)ですが、それ以来鳴かず飛ばずで不遇の毎日。
過去の栄光にしがみつき、荒れた生活をする間に妻に見放され一人息子にも会うこともできず、今日も持ち込んだ脚本が不採用になって孤独な部屋へと帰ります。
(画像:『Re:LIFE/リライフ』インターネットムービーデータベースより)
困り果てたキースはエージェントに電話し、何でもやるから仕事を回してくれと頼みますが、返ってきた返事は映画とは関係の無い田舎の大学の講師の仕事。
今やプライドだけが支えの彼はそれを断ろうとしますが、部屋の電気も止められる現状に仕方なく、ハリウッドから4000キロ以上も離れたその大学のある街へと向かいました。
空港から車を走らせようやくたどり着いたその街のバーガーショップで、キースは彼の講座の受講を希望しているという女子大生に出会い、気の合った2人はそのまま一夜を共にすることに。
翌朝、大学に初出勤したキースは学科長(J・K・シモンズ)から受講希望の70人分もの脚本を渡され、これを読んで10人の受講者を選ぶように言われます。
(画像:『Re:LIFE/リライフ』インターネットムービーデータベースより)
しかし元よりやる気の無い彼は脚本を読むこともせず、パソコンで大学の学生データの写真を見て自分の気に入った女子学生と、それからオマケ程度にさえない男子学生を数人選ぶという始末。
もちろんそこには、一夜を共にした例の女子学生も含まれていました。
さらには講義初日に、学生全員に1ヶ月かけて映画1本分の脚本を書くようにとの課題を出すことで事実上の休講を宣言し、数分で講義を終了して去っていきます。
これに加えて、新任祝いのパーティーで酒に酔い倫理委員長の女性講師に暴言を吐いて怒らせていた彼は、ついに新任早々クビというピンチに陥ることに。
(画像:『Re:LIFE/リライフ』インターネットムービーデータベースより)
それでは困ると倫理委員長にお詫びを申し入れたキースは、今後は真面目に講義をすると誓い、ようやく許されて再度学生たちの前に立つのですが、教師の経験など無い彼は何を教えていいのか分からずとまどうばかり。
そこに助け舟を出したのが、受講に対する熱意でキースに直訴することで受講生になったホリー・カーペンター(マリサ・トメイ)。
(画像:『Re:LIFE/リライフ』インターネットムービーデータベースより)
彼女は2人の子供を持つシングルマザーでありながら、大学の購買やウェートレスの仕事をしつつ学生として講義にも出席しているという異色のオバサン学生なんですが。
「脚本に必要なのは才能であり、人に教えられるものではない」という持論を持つキースも、ホリーの言葉をきっかけに自分の中の脚本に対する思いを交えながら初めての講義をやり遂げるのでした。
最初は講師の仕事を毛嫌いしていたキースでしたが、講義に真剣な学生達や他の教師との交流の中で、徐々に心の内の何かが変わっていきます。
(画像:『Re:LIFE/リライフ』インターネットムービーデータベースより)
そして街での生活や大学での講義に馴染んでいきつつ、何よりもホリーのポジティブな生き方や考え方に影響を受けていくキース。
ところが、ここで問題が起こります。
最初に街で知り合って夜を共にした女子学生との付き合いを続けていたキースは、講師と学生との交際を禁止するという学則のために辞任を余儀なくされることに。
大学での生活に新しい未来を見始めていた彼は、やり直しかけた人生を諦めなければならないのでしょうか、あるいは・・・
感想
とにかく、私にとっては大好きなマリサ・トメイが出てるんで、それだけで観る価値のある作品でして。
最近では『シビルウォー/キャプテンアメリカ』に、スパイダーマンの叔母のメイ役で登場してビックリしたんですが。
本作では小学生の女の子が2人もいる子持ちの役とはいえ、相変わらずのキュートさで良かったです。
そして主役を演じ、かつてはラブコメ俳優の代表とも言われたヒュー・グラントですが、ラブコメ卒業宣言もした今は年齢も重ねて円熟味の増した演技を見せています。
ダメ男の役は相変わらずですが、良い意味で老けた様子は渋みが増して、キャラクターに深みを感じさせるところが面白かったですね。
この映画はキースとホリーの中年男女の淡い恋愛感情も匂わせながら、挫折の中から周囲の人々との繋がりによって変わっていく男を描いています。
原題の「リライト」が意味するように人生の脚本の書き直しをしていくキースの生き方は、間違えても挫けても人はやり直すことができるということを私たちに教えてくれますね。
ちょっと疲れた気分のときに、押し付けがましくない元気をくれるような映画でしたよ。
作品データ
●原題
The Rewrite
●監督・脚本
マーク・ローレンス
●出演者
ヒュー・グラント
マリサ・トメイ
J・K・シモンズ
●日本公開年
2015年
●上映時間
107分