「赤い彗星」の誕生【映画レビュー】『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/02
TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:シネマトゥデイより
あらすじ
宇宙世紀0068年、地球から最も遠い位置にあるスペースコロニーのサイド3で限定的な自治権を持つムンゾ自治共和国では、地球連邦政府からの完全独立を求める声が高まっていました。
そんな中、スペースノイドによる人類の革新を唱えて独立運動の先鋒となって活動していたムンゾ国民議会の議長ジオン・ズム・ダイクンは、独立を宣言するはずだった演説のさなか突如倒れ、そのまま帰らぬ人に。
残された彼の子供であるキャスバルとアルテイシアの兄妹は、実権を握ったザビ家の策謀によって自由を脅かされる状況になりましたが、ダイクンの側近として忠誠を誓っていたジンバ・ラルとともに地球へと脱出します。
それから3年余りが過ぎて、宇宙世紀0071年。
サイド3から地球へと逃れてきた2人の兄妹は、ジンバ・ラルの知人であるテアボロ・マスの養子となり、名前もエドワウ・マスとセイラ・マスに変え身元を隠して静かに暮らしていました。
しかし彼らにつきまとうザビ家の魔の手は逃亡先の地球にまでも及び、ジオン家の血筋とそれを守ろうとする者を根絶やしにするために刺客たちが差し向けられます。
辛うじて難を逃れたテアボロ・マス、そしてキャスバルとアルテイシア達は、ザビ家への敵意が無いことを示すために、サイド3の程近くに位置するサイド5のルウムにあるテキサス・コロニーへと移住。
そこでまたしばらく穏やかに暮らしていたのでしたが、サイド3で別れた母親が亡くなったとの知らせを機に、ついにキャスバルはザビ家への復讐心を胸にアルテイシアの元を離れることに。
画像:『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』公式サイトより
ちょうど、ジオンの国防軍士官学校に入学するためにサイド3へ旅立とうとしていたアズナブル家の一人息子シャア・アズナブルと共に、宇宙港へと向かいます。
ところがそこにもザビ家の殺意の目があることを感じたキャスバルは一計を案じ、シャアの旅行かばんの中に銃を仕込むのでした。
そして銃の所持を理由に手荷物検査で足止めされて焦るシャアに、学校への入学手続きに遅れないようにするためという理由で、目の色以外がそっくりで見分けの付かないほど似ている2人の身分の入れ替えを提案します。
画像:『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』公式サイトより
つまりシャアはキャスバルとしてそのままサイド3へ向かい、キャスバルはシャアとして身代わりに空港に留まるということです。
それがキャスバルの企みであることも知らず、シャアは大喜びでその提案を受け、キャスバルの名を借りて船に乗り込んだのですが、悲劇はその直後に起こります。
キャスバルの命を狙うザビ家の手によってシャアの乗った船は爆破され、何も分からないまま彼はキャスバルとして命を落とすことに。
画像:『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』公式サイトより
兄の訃報を聞いて悲嘆にくれるアルテイシアでしたが、その頃キャスバルはシャアとしてサイド3の士官学校へと向かっていたのです。
後に「赤い彗星」と恐れられ、ザビ家への憎悪に燃えるシャア・アズナブルがこのとき生まれたのでした。
感想
前作でアルテイシアに別れを告げて旅立ったキャスバルがシャアの名前を奪い、ついにシャア・アズナブルとなってザビ家への復讐に動き出す様子を士官学校での話を中心に描いた作品です。
本物のシャア・アズナブルはキャスバルとは真逆で、普通に士官学校の合格にはしゃいだり空港で止められて慌てたりする様子が実に人の良い青年らしくて、策略によって殺されてしまうのがとても気の毒です。
でもこの作品では、そういったストーリーがキャスバルの冷酷さや、他の事への配慮を捨て切ることができるほどザビ家への恨みが根深いことがよく分かる逸話として、いくつも語られているんですね。
ジオンの士官学校に入学してからの彼の言動も、非凡で計略的でしかも背筋が凍るような冷たさを感じさせてくれます。
そしてその学校でザビ家の末っ子のガルマと出会い、どうやって近づいて彼の信用を得るまでになったのかも描かれてて面白いです。
本作のタイトルの「暁の蜂起」というのは、キャスバルが扇動して士官学校で起こした事件のことなんですが、最終的にすべてが彼の思惑通りに運びます。
そして最後のシーンで、昇ってくる朝日に焼ける空を見て、一人つぶやくセリフがとても印象的で胸に残りましたよ。
さて、この第3話もとても面白くて大満足なんですが、既に先月11/19から第4話の『運命の前夜』が劇場公開されてまして。
これも同じくレンタルDVDで観る予定なんですが、早く観たいなと期待する気持ちで一杯です!
作品データ
●原作・総監督
安彦良和
●登場人物(声)
キャスバル・レム・ダイクン(池田秀一)
ガルマ・ザビ(柿原徹也)
●日本公開年
2016年
●上映時間
68分