機械が人になるとき何が起きるのか【映画レビュー】『エクス・マキナ』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/04
TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『エクス・マキナ』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:シネマトゥデイより
あらすじ
創業者である現社長が開発した検索エンジン「ブルーブック」によって、事実上ネットを支配するまでに成長した大企業に勤める若きエンジニアのケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)。
彼のPCの画面に、ある日“当選”の文字が表示されました。
それは、ほとんど人前に姿を現すことなく私生活が謎に包まれた社長の自宅に、抽選で1週間招待されるという社内イベントに当選したというメッセージでした。
お祝いの言葉を言ったり羨ましがったりする同僚に囲まれて大喜びのケイレブは、早速荷物をまとめてヘリに乗せられて出発。
降り立ったのは山奥の森林地帯にある広大な社長の私有地の一角で、ここから先は立ち入りが許可されていないため一人で行くようにとのパイロットの言葉に従って、ケイレブは言われるまま川沿いに歩いていきます。
目的地も分からず不安になってきたそのとき、視界の中にパラボラアンテナを見つけた彼は、それを目指して進むうちに小さな物置のような建物にたどり着きました。
不案内にとまどっているケイレブに、どこか機械的な女性の声でセキュリティ装置の前に立つよう指示があり、それに従った彼は写真を撮影され、その場で装置から発行されたカードキーを使って中へと入っていきます。
広い邸内は視界をさえぎる壁がほとんど無く、透明なガラスで仕切られて見通しだけはやたらに良い部屋が続きますが、人の気配はまったく感じられません。
しばらくアチコチ見て回ったケイレブは、ようやく広大な山岳の景色が見渡せるテラスでエクササイズに励む一人の男を見つけます。
少しホッとした気持ちで彼が声をかけたところ、その坊主頭で顎ヒゲを蓄えたメガネの男こそが社長のネイサン・ベイトマン(オスカー・アイザック)でした。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
ネイサンは気さくな感じで軽く挨拶を済ませると、ケイレブを連れて建物の中を案内します。
「カードキーを使って入れる場所は自由に入って構わない、入れない場所は立ち入り禁止ってわけだ」
そう言いながら、滞在中にケイレブが使うゲストルームへ。
そこでネイサンはケイレブに、唐突に秘密保守の契約書へのサインを求めます。
実は彼がケイレブを招いたのは、ただ社員との交流のためというわけではなく、あるテストに協力させるためなのでした。
この別荘はAI(人工知能)開発のための研究室でもあり、天才技術者であるネイサンはここでたった一人でその製作に取り組んでいて、完成が近づいたAIのテストをケイレブにやって欲しいと言うのです。
断ることもできたのですが、その話に興味を覚えたケイレブは、ここで見聞きしたことを一切口外しないという契約書にサインして、テストの実施に応じます。
そして彼が連れて行かれた部屋で目にしたのは、驚くことにただの機械としてのAIではなく、ガラスの壁の向こうにたたずむ人型をしたアンドロイド(アリシア・ヴィキャンデル)だったのです。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
それは部分的にメカニカルな内部の構造が見えていましたが、顔や手足は合成皮膚に覆われ、特に顔は表情のある美しい女性の容貌をしていて、まるで本物の人間のようでした。
“彼女”の名前は「エヴァ」といい、ケイレブに要求されたテストの目的は、その「エヴァ」とコミュニケーションをとることによって“彼女”が人間らしいと判断できるかどうかを調べること。
こうしてAIの「エヴァ」と出会ったケイレブは、予想もしなかった出来事に巻き込まれていくのでした。
感想
この映画は人間ソックリの知能と姿を持つAIが登場しますが、同じく人型のロボットを題材にした『オートマタ』という映画を観たことを思い出しました。
『オートマタ』では、もとよりプログラムされたことしかできないはずのロボットが感情を持って行動するようになるという内容でしたが、本作では最初から感情や意思を持たせることを前提としたAIになってます。
ですから、そのAIの役ももちろん人間で、アリシア・ヴィキャンデルが演じてるんですね。
アリシア・ヴィキャンデルというと、『コードネーム U.N.C.L.E.』のヒロインとして登場したのを観て、キレイな女優さんだなと思ってたんですが。
今回のアンドロイドの姿も美しくて、やっぱキレイな人って何やってもキレイなんですよね。
本作ではヌードシーンもありまして、機械の体は一部CGで表現されてますが、ヌードのほうはどうなんでしょう?まさかCGじゃないとは思いますが。
それはさておき、タイトルの『エクス・マキナ』というのはラテン語で、「機械仕掛け」とか「機械による」というような意味なんだそうで。
ストーリーはその「機械仕掛け」が意思や感情を持って、結果としてどういった行動をとるのかを描いてますが、ほぼ室内劇であまり派手なシーンはありません。
ただ結末に少しショッキングな描写もありますので、淡々とした展開に油断してたら最後にドキッとさせられますよ。
暗めで不気味な印象のSFが好きな人に、おすすめしたいような映画ですかね。
作品データ
●原題
Ex Machina
●監督・脚本
アレックス・ガーランド
●出演者
ドーナル・グリーソン
オスカー・アイザック
アリシア・ヴィキャンデル
●日本公開年
2016年
●上映時間
108分
意思を持ったアンドロイドを描いたSF作品です。