実在した弁護士の活躍【映画レビュー】『ブリッジ・オブ・スパイ』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/02
TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『ブリッジ・オブ・スパイ』を観たので、その鑑賞記録です。
あらすじ(ネタバレ無し)
東西冷戦時代のアメリカでのこと、ソ連から送り込まれたスパイのルドルフ・アベル(マーク・ライランス)が、核兵器開発に関する重要な機密を盗んだという罪で逮捕されました。
彼のせいでアメリカ国民はソ連からの核攻撃に怯える生活を強いられるようになったと世間はその罪を責め、彼に対して極刑を望む声が高まる中で裁判が開かれることに。
その裁判でアベルの弁護を担当するように依頼を受けたのが、弁護士のジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)です。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
ドノヴァンはかつて敏腕の検察官として活躍していましたが、今は保険訴訟の弁護を主に担当しており、自分はこの件に向いていないと初めは及び腰でした。
しかしアベルとの面会で、彼の祖国に対する死をも恐れない忠誠心を知り、さらに彼から直接の弁護の依頼を受けることで心が決まり、その弁護を引き受けることにしました。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
とはいえ自分以外の全国民が敵と言えるような状況の中、無罪を主張するドノヴァンの声は空しく響くばかり。
「スパイといえどもアメリカ国籍を持つ国民である以上、法の名の下に偏見の無い裁判による正当な判決を受けるべきだ」という信念を持つドノヴァンの弁護も空しく、アベルの死刑は確定するかに思われました。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
そこでドノヴァンは最後の手段として判事の自宅に押しかけ、アベルは将来ソ連との交渉の切り札として役に立つと力説。
その結果、辛うじてアベルは死刑を免れ、懲役刑の判決を受けて収監されることになったのでした。
それから数年後、アメリカが極秘作戦としてソ連に送り込んでいた偵察機が撃墜され、その操縦士がスパイ容疑でソ連に逮捕されるという事件が発生。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
その操縦士を救い出すべくアメリカはソ連との間に交渉を画策し、かつてドノヴァンが予見したソ連との人質交換の事態が、ここで現実のものとなったのです。
そしてアメリカを代表して交渉を任されたのが、やはりアベルの件に深く関わったドノヴァン。
アメリカとの取引きを公式のものとはしたくないソ連は、東ドイツを隠れ蓑として交渉の場に東ベルリンを指定、ドノヴァンはベルリンの壁が建設されつつあるその地へと向かいました。
ところが到着したドノヴァンは、アメリカ留学生がスパイ容疑で東ドイツに拘留されていることを知り、なんとかしてその青年も助けられないかと知恵を絞ることに。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
ドノヴァンは2人のアメリカ人を救い出すことができるのか、はたしてソ連との交渉はどのような結末を迎えるのでしょうか。
感想
この作品は、1960年前後の米ソ冷戦時代に実際にあったお話をベースにした、セミドキュメンタリー映画です。
ですからドノヴァンもアベルも実在の人物なんですが、これら2人をトム・ハンクスとマーク・ライランスが、思わず感情移入してしまうような演技で上手く演じていますよ。
ただ映画自体は、かなり単調というか、派手さの無い淡々としたストーリー運びで描かれています。
監督がスティーヴン・スピルバーグなので、過剰なエンターテイメントを期待する向きもあるかも知れませんが、この映画についてはスピルバーグの地味なほうのパターンになりますね。
と言ってもスピルバーグですから、クスリとさせられるコミカルなシーンもありますし、丁寧に描かれたキャラクターには引き込まれて、最後まで飽きることなく観ることができました。
ちょっと印象的に感じたのはベルリンの壁が造られているシーンで、それが打ち壊されているところは現実にTVで観たことがありますから、その壁が造られた様子はこんな風だったんだなと面白く感じましたよ。
それからドノヴァンの交渉術といいますか、ネゴシエーターとしての度量や駆け引きの間合いといった様子も、勉強になった気がして良かったですね。
作品データ
●原題
Bridge of Spies
●製作・監督
スティーヴン・スピルバーグ
●出演者
トム・ハンクス
マーク・ライランス
●日本公開年
2016年
●上映時間
141分