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旅は道連れ余は満足じゃ【映画レビュー】『パッセンジャー』あらすじ&感想(ネタバレ無し)

2017/08/21

TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『パッセンジャー』を観たので、その鑑賞記録です。

映画『パッセンジャー』

画像:映画.comより

あらすじ

遠く地球を離れ、遥かかなたのスペースコロニー「ホームステッド2」を目指して、オートパイロットで飛ぶ宇宙船アヴァロン。

その目的は、宇宙の果ての植民地に新世界を築くためのプロジェクトで、船には5000人もの人々が乗っていました。

その乗客に加えて、船のクルー258名たちも、今はすべて冬眠ポッド内で眠っています。

映画『パッセンジャー』

画像:インターネット・ムービー・データベースより

これまで何事も無く飛んでいた宇宙船でしたが、ここへきて問題が発生。

どこかの星が爆発したことで生じたものなのか、数多くの岩が漂う岩石群へと宇宙船は突っ込んでいきます。

船の防御機能で自動的に張られたシールドによって、ほどんどの岩は破壊され宇宙船の進路を妨げはしませんでしたが、その中に破壊しきれない巨大な岩が1つありました。

岩が砕けた破片はシールドを突き破り、いくつかが外壁に衝突したようで、不気味に揺れる船内。

その影響か、船のエンジンである核融合リアクターの1つに不具合が発生したようです。

さらに冬眠ポッドをコントロールするシステムにも異常が起き、5000名以上いる船内の人間の中で1人の男だけが冬眠から目覚めることに。

彼はデンバー出身の技術者で、名前をジム・プレストン(クリス・プラット)といいました。

映画『パッセンジャー』

画像:インターネット・ムービー・データベースより

状況の分からない彼は、乗客用のサポートシステムの案内に従って、個人居住用のキャビンへ行きます。

シャワーを浴びて身なりを整え、船内での過ごし方を学ぶため、オリエンテーションルームへ向かうジム。

しかし、ほかに誰もいない1人きりのその部屋で、ようやく彼は異常に気づくのでした。

この巨大な宇宙船の中で、目を覚ましているのは自分1人だけなのか。

そんな恐ろしい考えを振り払うように、彼は船内を走り回って人を探し、何とか状況の確認と解決を試みます。

ところが、想定外の異常事態に船のシステムは何の役にも立たず、クルーが冬眠しているエリアには、セキュリティーのため入ることさえできません。

やがてジムは、目的地到着までの120年を人工冬眠で眠っているはずだったにもかかわらず、まだ出発から30年しか経っていないことを知ります。

彼は、たった1人だけ、予定よりも90年も早く目覚めたのです。

「早く起きすぎた」

あわてたジムは、植民プロジェクトを統括している地球のホームステッド社へ連絡をとろうとしますが、メッセージが届くのは19年後、返信が届くのは早くて55年後だと知って愕然とします。

やがてバールームへ行った彼は、そこにいたバーテンダーを見つけて、ようやく他に人がいたと安堵するも、それはアーサー(マイケル・シーン)という名前のアンドロイドでした。

人間と同じように会話のできるアーサーに、少しだけ安らぎを得ることのできたジムだったのですが、事態の解決には何の助けにもなりません。

映画『パッセンジャー』

画像:インターネット・ムービー・データベースより

技術者である彼は、自分の能力を生かして冬眠ポッドを修理しようとしたり、さまざまな道具を駆使してクルーの眠るエリアへ入ろうとするなど、あらゆる努力を重ねます。

しかし、何もかもうまくいかずに、ついに観念して解決を諦めるジム。

アーサーの「どうにもならないなら、悩んでいるより楽しみましょう」という助言もあり、彼はこの状況を楽しむことに決めます。

豪華なスイートルームのドアをこじ開けて、自分にあてがわれた狭くて質素な部屋から移住。

咎める者が誰もいないのをいいことに、船内にあるレストランやスポーツフロア、さまざまなアミューズメント施設を独占して、好き放題に遊びまわるのでした。

ところが、そんな自由気ままな生活も、1年近く続けていれば空しさを感じるようになり、次第にジムは孤独感に囚われていきます。

宇宙遊泳用の設備を見つけ宇宙服を装着して船外へと出た彼が、無限に広がる空間の中で感じるのは、締め付けられるような孤独と絶望だけ。

ぼんやりと船内へ戻った彼は、宇宙服を脱ぐと、そのまま装備をつけずに船外へのドアを開けようとします。

生きていたいという思いと、もう死んでしまいたいという衝動との間で、葛藤に苦しみながら、どうにか自殺を思いとどまるジム。

このままでは頭がおかしくなりそうだ、そんな状況の中、彼はある考えを思いつきます。

しかしそれは、人として決してやってはならないこと。

倫理観と絶望の間で揺れながら、ジムはどうしてもその考えを捨てることができず迷い続けるのでした

感想

私の好きなSFジャンルの映画かと思いきや、公開当時の評判で恋愛色の強いストーリーだと聞いたもんで。

恋愛映画を大スクリーンで観るために、わざわざ映画館まで行くのも面倒だと思って、劇場での鑑賞をスルーした作品ですが。

DVDレンタルが開始されたので、やはり気になって借りてみた次第。

主人公が、最近では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で主人公のスター・ロードを演じたクリス・プラットということも、興味を感じたポイントですね。

実際に観てみると、私が聞いた評判ほどは恋愛要素が強いようにも思われず、SF的な映像やアイデアも随所に表れていて面白かったです。

特に無重力の描写なんかは、今までに観たことのない影像で楽しめましたよ。

そしてストーリーとしては、恋愛物やSF物という側面もありますが、見方によっては哲学的というか生き方を考えさせる側面もあるように感じられました。

主人公は物語の序盤において、巨大な宇宙船の中で1人ぼっちで生きていくことを強いられるわけですが、果たして人間はたった1人で生きていくことができるのか。

あるいは倫理に反することながら、救いを得る方法があったとしたなら、絶望的な孤独の中でその方法を選ばないでいられるものなのか。

この映画の物語は、その辺の捉え方で評価が分かれるような気がします。

そして観客が男か女かによっても、それは違ってくるでしょうし、さらには主人公が女だったらどうなのか?とか、いろいろと考えられるのも面白いですね。

そういう意味で、「自分はこう思う」とか「私はそうは思わない」とか、観終わった後、いろいろと語り合うことのできる映画ではないかと。

ですから、1人で鑑賞するのも良いですが、カップルで観るとか友達と一緒に観て、アレコレ解釈を話し合うという楽しみ方をオススメしたい映画でしたよ。

私の感想としては、主人公の行動にはさほど否定的な感覚は感じませんでしたし、ストーリー全体の流れについても面白くて十分に満足できましたね。

作品データ

●原題
Passengers

●監督
モルテン・ティルドゥム

●出演者
クリス・プラット
ジェニファー・ローレンス
マイケル・シーン
ローレンス・フィッシュバーン

●日本公開年
2017年

●上映時間
116分

映画『パッセンジャー』

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