今度こそ本当にファイナル?【映画レビュー】『さらば あぶない刑事』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2017/02/28
TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『さらば あぶない刑事』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画.comより
あらすじ
留置所の暗い廊下を華麗なステップで歩く、港署の「セクシー大下」こと大下勇次(柴田恭兵)。
鉄格子の前までやって来ると、その奥に寝そべる影に話しかけます。
「やっぱ似合わないよな、こういう場所は・・・タカ」
留置所に入れられていたのは同じく港署の刑事、「ダンディー鷹山」こと鷹山敏樹(舘ひろし)でした。
「ユージ、遅かったな」
画像:映画.comより
二人が追っている「闘竜会」幹部の伊能の情報を得るべく、鷹山は裏社会の人間の振りをして自ら留置所に入り、その中にいる組員から話を聞いていたのです。
そこで得た情報を元に、伊能のいるブラックマーケットに車で乗り込む二人。
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銃撃戦になる中を逃げ出す伊能を追いますが、突然現れた謎の黒ずくめのライダーに邪魔されて車は横転大破、惜しくも取り逃がしてしまうのでした。
一夜明けて港署で、捜査課課長の町田透(仲村トオル)から説教をされている鷹山と大下。
定年まで残すところ後4日の二人を何とか無事に送り出したい彼ですが、まるで聞く耳を持たない二人に業を煮やして捜査活動禁止を言い渡します。
画像:映画.comより
そんな命令など気にも留めない様子で部屋を出て行く二人でしたが、そこへやって来たのは重要物保管所で所長を務めている真山薫(浅野温子)。
県警前の喫茶店に二人を連れて行き、結婚式の招待状を渡した彼女は、IT会社社長との玉の輿婚の報告をするのでした。
画像:映画.comより
しかもそのIT会社の株を全財産をつぎ込んで買ったという薫の話を呆れながら聞く二人でしたが、急に騒がしくなった県警から捜査員達が何人も車で出て行くのを見て後を追います。
到着した現場では、昨夜二人が取り逃がした伊能が惨殺されていました。
横浜で「危険ドラッグを扱う闘竜会」「覚醒剤を扱う中国マフィア」「拳銃を扱うロシアンマフィア」の3つの組織をまとめていた伊能が何者かに殺害され、その組織間のバランスが崩れることを懸念する県警本部の面々。
勢力争いによる抗争が起きれば事件の多発も予想されますが、町田と同様に鷹山と大下を無事に退職させたい本部長は、二人には捜査させないようにと町田に釘を刺すのでした。
その頃大下は、「パパ」こと吉井(山西道広)が定年退職後に開いた居酒屋で、オデンをつつきながら相談話をしていました。
実はブラックマーケットに乗り込んだ際、以前面倒を見てやったことのある不良少年の姿を目にしていた大下は、彼のことを気にかけていたのです。
吉井に協力してもらって仕事の世話もして、すっかり更正させたはずの少年が、まだ裏社会に関わっているかもしれないことに思い悩む大下。
そんな彼を励ますように、「あいつを立ち直らせるのは、お前しかいないよ」と言葉をかけてやる吉井でした。
一方、鷹山のほうは、美しい夜景の見えるレストランで恋人の夏海(菜々緒)と会っていました。
彼女との出会いは、鷹山が犯人を追って行ったロサンジェルスでのこと。
領事館で書記官をしていた彼女と鷹山は、そこで偶然知り合い、惹かれ合うようになったのです。
画像:映画.comより
鷹山が刑事を退職した後は、一緒にニュージーランドで暮らす約束をしている二人は、お互いにその出会いを思い起こして、シャンパンで乾杯するのでした。
そこに一人の男が現れ、夏海に話しかけます。
夏海は彼について、ロスで知り合って何度か食事をしたことのあるビジネスマンだと話しますが、紳士的な装いにもかかわらず怪しい雰囲気をまとった様子は、とても普通のビジネスマンには見えません。
実は彼こそが、今起こりつつある事件の中心となる組織のボス、キョウイチ・ガルシア(吉川晃司)であることは、まだ鷹山も、そして大下も知らないことなのでした。
画像:映画.comより
感想
日本の刑事ドラマに革命をもたらしたといっても過言ではないTVシリーズ『あぶない刑事』の、完結編となる映画。
これまで、TVドラマとしては、
- あぶない刑事
- もっとあぶない刑事
として2シーズン放映され、そして劇場作品としても、
- あぶない刑事
- またまたあぶない刑事
- もっともあぶない刑事
- あぶない刑事リターンズ
- あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE
- まだまだあぶない刑事
と、なかなか終わることなく6作品も作られたうえに、どれも劣らぬ人気ぶりでヒットしましたが。
ついに本当にコレが最後ということでフィナーレを飾った本作は、前回の映画公開から10年以上、そしてテレビ放映開始からは実に30年も経って公開されたんですね。
私はTVでは再放送で観た程度で、しかも劇場作品についても映画館には行かずにTV放映されたモノだけ観たり観なかったりという、おこがましくてファンだなんて名乗れないクチですが。
それでも『あぶ刑事』という作品には、けっこう愛着のようなものを感じるところがあり、「セクシー大下とダンディー鷹山」の最後の姿を観ようとDVDを借りた次第。
実はつい先日、早くもTVでオンエアされまして、レンタルDVDに頼るまでもなく観ることはできたんですが。
やはりTVでは一部シーンがカットされたりすることもあるんで、どうせなら全編シッカリ観たいという希望から、TVではなくDVDを選んだという次第ですよ。
さて、といったところで久々に姿を目にした「タカ&ユージ」でしたが、相変わらずというか、ホントまったく変わらないご様子で安定のフザケっぷり。
ですから、まず言っておかなければならないのは、『あぶ刑事』を知らない人は絶対に見てはいけない映画だってコトですね。
つまり本作は、第三者的な目で冷静に判断するならば、どうしようもなく内容の無い、敢えて言うならTVドラマを水増ししたような映画なんです。
けっきょくはファンのために作られた同窓会作品ですから、『あぶ刑事』に思い入れや愛着のある人ならば心から楽しめるんですが、そうじゃない人には駄作と言われても仕方がないかと。
でも良いんです、コレはコレで!
このくだらなさも『あぶ刑事』の持ち味で、寒いギャグも古いお決まりのネタも、好きな人にとってはゾクゾクして涙が出そうなくらい嬉しいモノなんです。
タカのショットガンとバイクのアクションや、ユージの「ミュージック、スタート!」から「カット!」で終わる「行くぜっ!」な『RUNNING SHOT』の疾走(透が入れるチャチャは少し邪魔)。
そして、今やすっかり中堅俳優として活躍している仲村トオルさんは相変わらず小僧と言うか「トロい動物」扱いで。
役者を引退した「パパ」の山西道広さんや、「落としのナカさん」のベンガルさん、さらに「瞳ちゃん、お茶!」の長谷部香苗さんまで登場して泣けます。
やや残念だったのが、真山薫を演じる浅野温子さんの役どころとその演技。
ストーリーにはぜんぜん必要の無い立ち位置で、しかもエキセントリックな面だけを強調した演技は、笑いとか懐かしさを通り越して狂気を感じてしまいましたよ。
本作のみのゲスト出演となる菜々緒さんは嫌いじゃありませんが、彼女にシーンを割くくらいなら、もう少しレギュラーメンバーの薫に重要感のある活躍の場をあげて欲しかったなという気がしてなりません。
ともあれ、最初にタカとユージが顔を合わせるシーンから、エンドロールに流れる懐かしの映像まで、涙無しには観られない映画でしたね。
少しでも『あぶ刑事』を懐かしいと思う人なら、最後の締めくくりとして是非とも観ておくべき作品ではないかと。
作品データ
●監督
村川透
●出演者
舘ひろし
柴田恭兵
浅野温子
仲村トオル
菜々緒
吉川晃司
●日本公開年
2016年
●上映時間
118分