不死身のマッチョ【映画レビュー】『ラスト・ウィッチ・ハンター』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/01/24
TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『ラスト・ウィッチ・ハンター』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画.comより
あらすじ
13世紀のヨーロッパ、雪の積もる山を越えたとある場所で、枝を茂らせてそびえる不気味な姿をした大きな樹木。
それは、人間を憎み、世界を魔女のものにすべく黒死病を蔓延させることで人々の滅亡を企てる、魔女の女王の棲みかでした。
そこへ乗り込んだのは、コールダー(ヴィン・ディーゼル)を始めとしたウィッチ・ハンターたち。
守りを固める妖物たちを倒し、ようやく女王を見つけたコールダーは、「ヘクセン・ベイン(魔女殺し)」と呼ばれる炎を吹き上げる聖なる剣を振りかざして彼女に挑みます。
画像:映画.comより
苦戦しながらついに女王の腹に剣をつきたてたコールダーでしたが、病気で妻子を失った彼の目に自分の死を望む思いを読み取り、断末魔の間際に彼に呪いをかける女王。
それは不老不死の呪いで、以来コールダーは例え自分が望もうとも決して死ぬことのできない体になり、永遠に生き続ける宿命を背負ったのでした。
時は変わり、800年の歳月が過ぎた現代。
魔女の女王は死んだものの世の中から魔女が消え去ったわけではなく、やがて人間と魔女は共存の道を選びました。
人間には魔法を使わないという契約を結ぶことで魔女の存在を認めた人間たちは、「斧と十字架団」という組織を作ってその契約の管理と魔女たちの監視をするように。
そして不死身となったコールダーは、「斧と十字架団」のもとで8世紀もの間ウィッチ・ハンターとして、契約に反して人間に害をなす魔女を狩り続けていました。
荒れた天候の中ニューヨークへと向かう、とある旅客機の中。
窓から見える荒れた空の様子を見て何やら疑念を抱いたコールダーは、機内を探して一人の魔女を見つけ出します。
彼女は手荷物の中に、雨・風・冷気・熱気など天候を操ることのできるルーン(呪術道具)を持っていました。
彼女は気づいていなかったのですが、そのせいで起きた激しい雷雨と嵐で、危うく飛行機が墜落するところだったのです。
コールダーは彼女からルーンを取り上げると、手馴れた手つきでそれを無効化して惨劇を防いだのでした。
こうしてニューヨークに到着し、自宅でくつろぐコールダーのもとへ、一人の年老いた神父(マイケル・ケイン)が訪ねてきます。
コールダーには、代々ドーランと呼ばれる男が「斧と十字架団」によって任命され、補佐役を勤めていました。
コールダーを訪ねてきた神父は36代目のドーランで、コールダーにとって、これまでのドーランの中でも最も信頼の置ける親友のような関係にある男でした。
しかし不老不死のコールダーとは違って、年を重ねて老いを感じるようになった彼は、この度ドーランの役目を引退することに。
お別れを言いにきた彼に、コールダーは明るい様子で選別の品として高級ペンを贈りながら、名残惜しさや寂しい思いを隠すのでした。
画像:映画.comより
ところがその夜のこと、コールダーにかかってきた電話は、36代目ドーランの死を告げます。
翌日、37代目ドーラン(イライジャ・ウッド)の任命式の場に出かけたコールダーでしたが、先代ドーランの死に疑惑を感じ37代目と共に彼の部屋を訪れます。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
そして部屋の床に落ちていたハエの死骸から、先代ドーランが魔術によって暗殺されたことを突き止めるコールダー。
なぜ、彼は命を狙われたのか?
犯人の狙いをつきとめるため、コールダーは動き始めたのでした。
感想
最近『トリプルX:再起動』を観て記事にもしましたが、近々『ワイルド・スピード ICE BREAK』の公開も待ち遠しい、ヴィン・ディーゼル主演のダーク・ファンタジーです。
ここ数年は主演作には必ず製作としても携わっているヴィンが、やはり本作でも製作陣の中に名を連ねてまして、自身の新しい代表作として臨んだのではないかという意気込みが想像されますね。
冒頭では頭に毛があって、さらに髭まで生やしてるもんで、ヴィンなのか誰なのか分からなかったんですが、場面が現代に移るといつものハゲたオッサンに戻って一安心。
いゃ安心とかそういう問題ではないですが、とにかくヴィンはハゲてないと彼らしくないと言いますか、逆にどんな役をやってもいつもの彼にしか見えないとも言えて、役者としてどうなの?という気もしないでもないです。
とにかく舞台は現代ながら、剣と魔法がモノを言うファンタジー・ワールドな世界観で描かれたお話でして。
ハリー・ポッターの主人公がハゲたマッチョオヤジだったらこんな映画になるのかな?とか思いますが(ならない)、ただヴィン主演にしてはアクションシーンが少ないところは残念でしたね。
何しろ敵が魔女ですから、いつものような肉弾ファイトというわけにはいかないんですよ。
彼が二刀流で剣を振り回したり、「鉄と炎をもって討て」という言葉と共に炎を吹き上げる剣を使って立ち回るシーンもあって、そこらへんはカッコ良いんですが、それもシーンの多さや長さとしては物足りない印象。
魔女の手下の魔物的な連中がたくさん出てくれば、それらと戦う場面も楽しめたでしょうが、なぜか本作の魔女は人望が無いのか手下がいないんですよね。
敵が少ないのでバトルも少な目なのは当然でして、さすがのヴィン・ディーゼルも寄る年波には勝てず、アクション控えめにしたのかなと勘繰ってしまいますよ。
とはいえ私は、こういった「ヒーローが魔物を退治する系」のファンタジー映画は好きなんで、それなりに楽しく観ることができました。
CGによる魔術の描写も、美しかったり面白かったりして良かったですね。
それからヴィンの不死性を表す、手がグギギギギとなるところ(観たら分かります)も気に入りましたよ。
ただ、ウンカのごとくと言いますか、大量のハエが飛び回るシーンなんかもあるので、そういうのを見ると鳥肌が立つという人は鑑賞に際して注意が必要でしょう。
ラストは、いかにも続編ができそうな雰囲気だったんですが、どうやら本作の評価があまり高くないらしく、シリーズ化については期待薄な模様。
私の希望としては、主人公が不老不死という設定なんで、できたらヴィンが老けないうちに続きを作って頂きたいんですがね。
作品データ
●原題
The Last Witch Hunter
●監督
ブレック・アイズナー
●出演者
ヴィン・ディーゼル
マイケル・ケイン
イライジャ・ウッド
●日本公開年
2016年
●上映時間
106分