仲良し姉弟にホッコリ&ジーン【映画レビュー】『小野寺の弟・小野寺の姉』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/04
TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『小野寺の弟・小野寺の姉』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:シネマトゥデイより
あらすじ
小野寺進(向井理)がまだ幼い頃に両親を亡くしてから、姉の小野寺より子(片桐はいり)と2人きりで暮らすようになって20年以上になります。
そんな彼が姉に殺意を抱いたことが、これまでに3度あるんだそうで。
それはまだ進が幼稚園児だったときのこと、唐辛子をカリントウのようなものだと騙されて食べたせいで、酷い目にあったのが1度目。
そして小2の夏、ヒーローショーを楽しんでいた彼の耳元で、「中の人はアルバイトでお金のためにやってるんだよ」と聞きたくもない現実をささやかれたときが2度目。
さらにそれに続けて、「ちなみにサンタクロースはいないから」と余計な一言まで聞かされたときが3度目なんだそうで。
とはいえそれ以来、2人は大きなケンカをすることもなく仲良く暮らしてきて、進は32歳、より子は40歳になりながらもお互い結婚することもなく相変わらず一つ屋根の下で暮らしていました。
今日も2人で、福引で当たった券を使って遊園地に来ています。
楽しそうにはしゃぐより子と、口では姉と2人きりで遊園地に来るなんてと愚痴を言いながらもけっこう楽しんでる様子の進。
この歳で姉弟2人が結婚もしないで仲良く暮らしているというのは、他の人から見たら少し変わっているように映るかも知れませんが、より子も進もこの穏やかな生活に満足しているようでした。
そんなある日のこと、休日で昼頃まで寝ていた進でしたが、ようやく目を覚まして2階の部屋から台所へと降りてきます。
いつものように姉が用意してくれた食事を一緒にとりながら、やはりいつものように他愛もない会話を2人でしているとき、より子は届いた郵便の中に宛先を間違えて届けられた一通の封筒を見つけました。
郵便局に任せようと言う進を半ば無理やり連れ出して、より子はその封筒を正しい宛先の住所へと届けようと、自転車に乗って出かけることに。
到着したマンションで、相手がどんな人なのか見てみたいと好奇心がうずきだしたより子は、封筒をポストへ入れずに手渡ししようと部屋まで持って行くことにします。
そしてチャイムを鳴らして出てきたのは、岡野薫(山本美月)という若い女性でした。
彼女を一目見た進は、何だか少しドギマギした様子。
届くのを待ちわびていたと感謝する薫に、無事その手紙を手渡すと、2人は結果に満足して再び自転車に乗って帰路に着きます。
この偶然の出会いが、平和な姉弟の生活に小さな波を起こし、それがやがて2人の心の中にまで広がってチョットした変化を起こすことも知らずに。
感想
本作の脚本と監督を担当した西田征史さんは、この映画の原作者でもある劇作家なんだそうで、このほかにもNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』などのTVドラマや『信長協奏曲』などの映画の脚本も書いてるんですね。
しかも役者や演出家や小説家としても活躍しているとのことで、マルチな才能を持つ天才肌の人らしいですよ。
この『小野寺の弟・小野寺の姉』は、そんな西田征史さんが書いた小説を元にして、以前舞台化もされていて。
内容はサイドストーリー的なものでしたが、主役のキャストは映画と同じく向井理さんと片桐はいりさんだったので、映画化の際もそのまま役に入ることができたとのこと。
実際に映画では、2人の間の何とも言えない優しさを感じさせる気持ちのつながりがよく伝わってきて、顔立ちは血が繋がってるとはとても思えませんが、雰囲気はまるで本当の姉弟のように感じられましたね。
2人のノホホンとした日常会話が面白くて、ストーリーもその会話と同様にノンビリとしながらも、その中で起こる事件にホッコリさせられたり、ジンとさせられたりして楽しめた作品でしたよ。
こういう何でもない日常の小さな出来事を描いた話にしてはやや長尺ですが、意外に飽きることなく最後まで観られて温かい印象の残った映画でした。
作品データ
●監督
西田征史
●出演者
向井理
片桐はいり
山本美月
●日本公開年
2014年
●上映時間
114分