さすがマーベル版【映画レビュー】『スパイダーマン:ホームカミング』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2022/06/01
劇場で映画『スパイダーマン:ホームカミング』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画.comより
あらすじ
ロキの陰謀によって地球に襲来した異星人チタウリと、それに対抗するために結成されたアベンジャーズとの戦いの地となったニューヨーク。
そのニューヨーク決戦でアベンジャーズは勝利を収め、地球は平和を取り戻しましたが、戦場となった街は崩されたビルなどの瓦礫が散乱する廃墟となっていました。
エイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)は、そんな荒地で撤去作業をしている業者の一人。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
彼は廃品回収などを営む小さな会社の経営者で、愛する家族のために働く普通の市民として社員と共に仕事に励んでいたのですが、その現場へ行政職員たちが踏み込んできます。
彼らは、ダメージ・コントロール局の役人で、トニー・スタークスの助言により作業は政府が引き継ぐと言い渡し、トゥームスたちに直ちに退去するよう指示。
政府としては、異星人の武器の残骸などを含む現場に一般人を関わらせる危険や情報の漏洩防止を考慮してのことだったとはいえ、トゥームスたちは仕事を奪われたことに激高します。
政府役員に食ってかかる彼らでしたが、警備員達に取り押さえられ、止む無く指示に従って現場を離れることに。
しかしトゥームスたちは、異星人が残したと思われる謎の物質や機械の残骸を密かに持ち出していました。
そしてそれらを使って、人類のテクノロジーを超える機械や武器を開発し始めたのでした。
それから、8年後のある日のこと。
高級リムジンの後部座席に乗り込む、高校生のピーター・パーカー(トム・ホランド)。
リムジンの運転席には、トニー・スタークス(ロバート・ダウニー・Jr)のもとで働くハッピー・ホーガン(ジョン・ファヴロー)がいました。
ピーターは特殊なクモに噛まれたことから特殊な身体能力を身につけ、自作のスーツに身を包んでスパイダーマンとして街を守る活動をしていたのですが、そのことを知ったトニーに呼び出されたのです。
尊敬するトニーに見出されたことが嬉しくてたまらないピーターは大はしゃぎで、ハッピーに言われるまま車や飛行機を乗り継いでベルリンへと到着。
そこでピーターは、トニーにもらったハイテクのスパイダースーツを身に付け、政府に逆らって逃亡したキャプテン・アメリカを捕まえるための協力をすることに。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
2派に分かれたアベンジャーズによる激しい戦いが終わり、キャプテンは取り逃がしてしまったものの、ピーターは自らの活躍に大満足でニューヨークへと帰り着きます。
帰りのリムジンの中で直接トニーに対面したピーターは、また必要な時がきたら連絡すると言われ、すっかりアベンジャーズの一員になったような気持ちで興奮冷めやらぬまま、伯母のメイ・パーカー(マリサ・トメイ)の待つ家へと帰宅。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
それからのピーターは、トニーからの連絡を待ちながら、いつも心ここにあらずといった様子。
メイ伯母さんや学校の仲間にはスタークス社のインターンとして働いていると言い、常にスマホの着信を気にしつつ、友達からの誘いも断り部活動にも参加しなくなって、学校が終わるとそそくさと姿を消す毎日です。
彼は人助けや犯罪阻止をすることで、さらにトニーから認めてもらおうと、スパイダーマンとして街を飛び回っていたのでした。
そして、ピーターがモスクワから戻って2ヶ月ほど経った、ある日のこと。
今日もスパイダーマンとしてパトロールをしていた彼は、アベンジャーズのお面で顔を隠して銀行のATMを襲撃している強盗団を見つけます。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
早速乗り込んで、いつものように簡単に取り押さえようとしたピーターでしたが、予想外の事態に。
強盗たちは、通常兵器を超えるほどの強力な光線を発する武器を持っていて、それによってATM付近の建物が焼き払われてしまったのです。
思いもよらない大きな被害に慌てたピーターは、周りの人たちの救助に気を取られ、強盗団を取り逃がしてしまいます。
実はその強盗団が持っていた武器こそ、エイドリアン・トゥームスたちが異星人の遺物を使って作ったものでした。
そしてこのことを発端として、スパイダーマンとトゥームスとの戦いが始まったのです。
感想
2002年から始まった実写映画版『スパイダーマン』がサム・ライミ版3部作としてあって、次いでリブートで『アメイジング・スパイダーマン』が2本作られまして。
ソニー・ピクチャーズとディズニーが有するマーベル・スタジオとの提携により、3度目の正直というべきか、ついにMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のシリーズとして生み出された本作。
最初の『スパイダーマン』や『アメイジング』も割と気に入ってたし、あまり何度もリブートされるのは好きじゃないんですが、MCUのシリーズとなると話は別。
『シビル・ウォー』でチラリとスパイダーマンが登場していたときから既に期待していたので、公開が待ち遠しかったんですが、期待を裏切らない作品になってて大満足できましたよ。
本作は、冒頭で登場した時点でピーターは既にスパイダーマンとして活躍してまして、これまでの作品のように彼がスパイダーマンになるまでの説明は大胆にカットされてます。
「知らない人はコミックなり他の作品なりで勉強してくださいね」とばかりに話を端折って、スパイダーマンであるピーターが『シビル・ウォー』に関わっていくところに、いきなり話を繋げてしまってるんですね。
ですから、スパイダーマンというものをまったく知らない人にとっては不親切な話なんですが、おかげでストーリーのテンポがとても良いんですよ。
しかも『シビル・ウォー』を観た人は、あのシーンの前後がこんな風に繋がってるんだなと分かる面白さもあります。
そしてユニークなのがスパイダースーツでして、これまでの映画ではピーター自身が作ったことになってましたが、本作ではアイアンマンのトニー・スタークスが作ったことになってまして。
ですから、アイアンマンばりにハイテクが駆使されたスーツになってるんですね。
これもMCUのシリーズとして作られたおかげなんですが、ピーター自身もまだ把握してない機能が山ほど仕込まれてて、それらが話が進むにつれて次第に明らかになっていくところも面白いんですよ。
ストーリー自体も、トニー・スタークスが絡んでくるところが多いので、アイアンマン好きの人にとっても楽しめる部分が多いです。
さらに本作での敵は、ニューヨーク決戦でチタウリが残した異星のテクノロジーを利用した悪人ということで、ここでまたアベンジャーズとの関連があるわけで。
だたの「スパイダーマン」ではなく、「MCUのスパイダーマン」として描かれている要素が多いところがたまりません。
ラストも、トニー・スタークスを間に挟んでスパイダーマンが今後もアベンジャーズと関わっていくことを思わせるシーンがあるので、さらなる展開が期待させられますよ。
もちろんお話はそれだけではなく、まだまだ少年で考え方の未熟なピーターが変わっていくという、若者の成長物語としての一面もありまして。
父母を亡くし、育ての親であるベン伯父さんも亡くしたピーターにとって、トニー・スタークスは憧れの父親ともいえる存在になってるんですね。
そしてピーターは、トニーに認めてもらいたい一心で張り切ってスパイダーマンとして頑張るわけですが、その挙句に失敗して失望されたり。
そんなトニーとピーターとの関係に注目するのも、この作品のまた一つの楽しみ方だと思いますよ。
本作では、成長したといってもまだまだ若過ぎて未熟なピーターのままのような気もしますが、これからどんなふうに変わっていくのか楽しみです。
ところで、私は女優のマリサ・トメイのファンでして、彼女がメイ伯母さんとして作品に参加しているのを知ったときは嬉しかったですね。
その点も含めてマーベル版『スパイダーマン』は、今回も良かったですが、次回作が早くも楽しみで仕方ありません。
ただ気になるのは、スパイダーマンのMCU参加は期間限定で、数年先にはまたスパイダーマンだけの世界観のシリーズとして独立するという噂があることで。
そうなるとしたら残念だなと思いつつ、注目していきたいと思いますよ。
作品データ
●原題
Spider-Man: Homecoming
●監督
ジョン・ワッツ
●出演者
トム・ホランド
マイケル・キートン
ジョン・ファヴロー
ロバート・ダウニー・Jr
マリサ・トメイ
●日本公開年
2017年
●上映時間
133分