まさにロッキーを継ぐ【映画レビュー】『クリード チャンプを継ぐ男』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/01
TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『クリード チャンプを継ぐ男』を観たので、その鑑賞記録です。
あらすじ
少年刑務所でケンカ沙汰を起こして独房へ入れられた少年ドニーことアドニス・ジョンソンのもとへ、一人の女性が面会に尋ねて来ました。
彼女はメアリー・アン・クリード(フィリシア・ラシャド)といい、かつてロッキーとリングで死闘を繰り広げたあのアポロ・クリード夫人でした。
メアリーはアポロが愛人との間に作った子供を養子として迎えるべく、その少年刑務所へとやって来たのです。
時は流れて立派に成長したドニー(マイケル・B・ジョーダン)は、若くして仕事にも才覚を現し裕福で何不自由無い生活をしながらも、養母のメアリーに隠れてメキシコで地下ボクシングのリングに立っていました。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
そう、彼は何よりもボクシングがやりたかったのです。
その強い思いのままにドニーは仕事を辞め、かつて父アポロが所属していたジムへと向かいますが、ジム内のトップランカーに戦いを挑むも倒されて追い払われてしまいます。
それでも諦めきれない彼は、メアリーの反対を押し切って単身フィラデルフィアへ。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
そこには彼の父アポロを打ち倒した、あのロッキー・バルボアがいるからです。
今ではリングから遠のき、レストラン「エイドリアンズ」を経営するロッキー(シルヴェスター・スタローン)に会いにやって来たドニーは、彼にコーチになってくれるよう頼みます。
しかし愛する妻エイドリアンを亡くし子供も遠くカナダに行ってしまい、一人でひっそりと暮らすロッキーはボクシングへの情熱も無く、ドニーの依頼をアッサリ断るのでした。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
ドニーは仕方無くロッキーの友人が運営する地元のジムへ入会してトレーニングを始めますが、しばらくしてそこへフラリと現れるロッキー。
ドニーの父親譲りの隠れた才能に気付いたのか、それともアポロの息子という彼との深い繋がりを感じたのか、あるいは彼の中にかつての自分と同じ思いを見たのか。
ロッキーは、ドニーのトレーナーとなることを承諾したのです。
ドニーはロッキーのもとで、最初の試合に向けて厳しいトレーニングを始めるのでした。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
感想
主人公ドニーはアポロの子ですが、その父はドニーが生まれる前に死んでしまったため、彼は父の顔も知りませんし思い出もありません。
しかも母はアポロの愛人としてドニーを産んだせいで、彼はアポロの子であることへの確かな自信というか、自己確立ができないままで大人になったようです。
いつも心のどこかでアポロを父に持つことのプレッシャーと同時に、愛人の子であることへのコンプレックスを抱えて生きてきたんですね。
そのため父親に対する憧憬と嫌悪、愛情と憎しみという相反する複雑な思いをボクシングをすることで、リングという父が命を賭けた場に立つことで、自分自身に確かめようとした。
つまりドニーにとってボクシングというのは、自分が何者かを明らかにすること、そして紛れも無くアポロの子であると自分や皆に証明することだったわけです。
それは、かつてロッキーが荒れた生活から抜け出してアポロに立ち向かい、自分がただのろくでなしのゴロツキではないことを証明しようと血みどろになって闘ったときの気持ちに似ていました。
その思いを感じたロッキーは、だからこそドニーのトレーナーを引き受けたんでしょうね。
そんなドニーとロッキーとのコンビは、ロッキーとミッキーのときとはまた違ってて、親子のような親友のような面白いやり取りも多くて良かったです。
しかも生卵は飲みませんでしたが、鶏を追いかけるなどのロッキー・シリーズを知る人にとっては懐かしさを感じさせる練習シーンもありまして、ニヤリとさせられます。
さらに音楽なんですが、例のあの曲がアレンジを変えてところどころで軽く流れるんですが、なかなかババーンとは来ないんですよ。
それで何だかモヤモヤした感じが残りながら観続けることになるんですが、ところがまさにラストの肝のところで来るんですね、ババーンっと。
ようやくスッキリしたような、カタルシスもありつつグッときましたよ。
といった感じで、もちろんロッキー映画が少しでも好きな人ならとても楽しく見ることができますし、そうでない人でも一つのスポーツドラマとして面白いのではないかと。
なんだか、ロッキー・シリーズを最初から観直したい気分になってきましたね。
作品データ
●原題
Creed
●監督・脚本
ライアン・クーグラー
●出演者
マイケル・B・ジョーダン
シルヴェスター・スタローン
●日本公開年
2015年
●上映時間
133分