雑談やビジネスの会話で相手に心を開かせるための4つのテクニック
2020/04/01
いまさら感もありますが、コールドリーディングの本を読みまして。
「一瞬で信じ込ませる話術 コールドリーディング」(著者:石井裕之)という本なんですが、参考になるところもあったんでメモとして記事にしておきますよと。
「コールドリーディング」とは
「コールド」っていうのは「準備無しに」とか「その場ですぐに」といった意味なんだそうで。
つまり「コールドリーディング」っていうのは、前もって情報を調べるなどの準備無く、その場で相手の心を読み取ったり情報を得たりする技術のことなんですね。
ちょっと前に“メンタリスト”とか流行りましたが、あんな驚くようなエンタメ的なものじゃなくて、ちょっとしたテクニックを使った心理術のようなものです。
言葉で人の心理や意識を誘導したりするんで、怪しい占い師や詐欺師が利用するようなイメージを持つ人もいるようですが。
もちろん使いようによっては悪いこともできそうですが、普通に日常会話で使ってスムーズな人間関係のために利用することもできる技術といえますね。
普段、あまり親しくない人とその場限りの建前だけの会話もありますが、やはりお互いに心を開いて話をしたいということもあるでしょう。
そんなときはまず相手に信頼してもらうことが何より大事ですが、コールドリーディングを使った会話で相手の心を開かせることも可能です。
本の中ではいくつかのコールドリーディングのテクニックが紹介されてますが、この記事ではその中から4つを選んでまとめてみましょう。
1.誰にでも当てはまる常套句を用意する
よく当たる占いなんてものでも、落ち着いてよく考えると誰にでも当てはまりそうな話だったりするもので。
そういった一般的に、あるいはある特定の層になら誰にでも当てはまりそうな内容を会話で使うことで、相手の信頼を得るテクニックがあります。
本の中ではそういったネタを「ストックピール」と呼んでますが、これは「ストック(溜め込んだ)」「スピール(客寄せの口上)」というような意味で。
つまりは憶えておいて使う定型の文句なんですが、例えば、
「あなたは、少し自分に対して厳しいところがありますね」
「最近、誰かに裏切られたような気持ちになったことがあるでしょう」
「あなたは人に合わせる共感力もありますが、自分の意思を曲げない強い心も持っています」
といったような内容の話です。
このような話をきっかけにして相手の気持ちを引き出して、さらにそこから情報を得ることで心を読んでいくテクニックですね。
これらは当たってるか当たってないかよりも、その会話において相手がどう反応するかや、どんな返事をするかということに注意が必要です。
こういった常套句をいくつか用意しておくことで、会話をスムーズに進めることができるというわけです。
2.質問の内容を広げたり絞ったりする
例えば、「あなたは以前アーティストを志したことがありますね?」と聞いたときに「いいえ」という否定の答えがかえってきたとします。
ここで、
「でもこれまでに、何か芸術や音楽に熱中したことがあるんじゃないですか?」
と、質問の内容を広げて「そうですね、そういえば子供の頃に漫画を描くことが好きでした」という肯定の答えが得られれば、「やはりそうですか」となって自分の予想が当たったとなります。
はたして“漫画を描くこと”が“アーティストを志す”ことになるのかどうかは別として、ここではとにかく質問のフォーカスを大きくすることで肯定の返事を得ることが重要です。
そして「今でもたまに絵を描いてみたいとか思うことがありますよね」というように、今度は質問を絞り込んでいきます。
つまりここでは、“これまで”の話から“今”へと、時間のフォーカスを小さくしていったわけです。
このように、質問のフォーカスを広げたり絞ったりすることを本の中では「ズームイン・ズームアウト」のテクニックと呼んでいます。
こうして相手の情報を得ながら、自分の話がいつも相手に当てはまっていると思い込ませることで、自分に対する信頼感を築いていくんですね。
3.否定疑問文で相手の信頼感を高める
否定疑問文というのは、英語では「Aren’t you ・・・」とか「Don’t you ・・・」という文になりますが。
日本語で言えば、「・・・じゃありませんよね?」とか「・・・に心当たりありませんね?」というような質問のことです。
例えば、
「お仕事は、会社勤めじゃありませんよね?」
というような質問がそれなんですが、このときに相手から
「ええ、フリーでデザイナーの仕事をしています」
という答えがあったら、
「やはりそうですか、あなたは何かそういうクリエイティブな印象を感じます」
というように返すことができますし、
「いいえ、○○社で営業の仕事をしています」
という答えなら、
「でもどちらかというと、仕事は人に言われてやるのではなく、自分で方針を立てて進めていくほうじゃないですか?」
というように返してあげれば、多くの場合は「そうですね」というような返事になるでしょうから、
「やっぱりですか、あなたには会社に使われる人ではなく、会社を引っ張っていくような自立心が感じられますからね」
というような言葉で、相手の自尊心をくすぐりながら、自分の質問が間違ってなかったような印象を与えることができます。
つまりこの否定疑問文による質問は普通の質問とは違って、自分が相手のことについて“分かっていますよ”というニュアンスを含ませながら質問をしているところが巧妙なわけです。
この方法を本の中では、「サトルネガティブ」と呼んでいます。
そしてこの質問は、その内容が当たっていても外れていても、最終的には自分の相手への判断は間違っていないという所に着地させることが重要です。
さらにその判断が、相手の心の奥にある自尊心を高めるものである点にも注目してください。
そうすることで、相手は好印象とともに「この人は自分のことを分かっているな」と感じ、結果的に自分への信頼感も上がってくるわけですね。
4.質問と感じさせない質問で情報を得る
徐々に相手が心を開いてきて、自分への信頼感も上がってきたと感じたら、さらに具体的な質問をすることで相手の情報を得ることもできるようになります。
例えば、
「あなたは最近、人間関係で問題を感じているようですが、心当たりありませんか?」
というような質問ですが、人が感じている問題というのものは多くの場合は仕事であれ何であれ人間関係が絡んでいるもので、この質問が大きく外れていることは少ないものです。
仮に「いえ、心当たりありませんね」という返事でも、
「そうですか?少し前のことかも知れませんが、何かあったんじゃないですか?」
とか、
「もしかして、あなたが気づいてないことなのかも知れませんが、何か問題になりそうなことがあるように感じられるんですが」
というように続ければ、相手は自分から「そう言われてみれば、あれかな?」というように自分から問題を見つけ出してくる場合も多いものです。
このような質問を本の中では「サトルクエスチョン」と呼んでいますが、相手のことをズバリ言い当てているように思わせながら、実際は質問によって相手から情報を引き出しているところがミソなんですね。
ここでは質問を質問と感じさせないようにする必要があるので、「・・・のことで心当たりありませんか?」とか「・・・と感じているのはナゼですか?」というような言い方をすることが大事です。
まとめ
というわけで、相手の自分への信頼感を高めながら、さらに情報を得る4つのテクニックについてまとめてみました。
これらは確かに占い師や詐欺師が使う技術でもあるんですが、日常の会話に応用してコミュニケーション術として使うこともできる方法ですね。
雑談やビジネスの会話で相手に心を開かせるために、この4つのテクニックを役立てることができるんじゃないでしょうか。
例えば悩んでいる誰かの相談にのったり、初対面の人との会話で早く打ち解けたりするときに使うと良さそうです。
ちょっと憶えておいて、何かの機会に使ってみるのもよろしいのではないかと。