原作とは違うオチ!【映画レビュー】『僕だけがいない街』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/03/30
TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『僕だけがいない街』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画『僕だけがいない街』公式ツイッターより
あらすじ
漫画家を目指して北海道から千葉に出て一人暮らしをしている藤沼悟(藤原竜也)は、ピザ屋のバイトで生計を立てながら漫画を描いて出版社に持ち込む生活を続けていました。
今日もスクーターでピザの配達をしていたその時、彼はフッと時間が巻き戻るのを感じました。
「また、リバイバルか・・・」
藤沼には子供の頃から特殊能力があり、何か事件や事故などのトラブルが起きそうになると、その原因が取り除かれるまで何度も、トラブルの直前の時刻に自分だけタイムスリップしてしまうのでした。
彼は、その同じ状況が何度も繰り返す現象のことを映画の再上映になぞらえて、「リバイバル」と呼んでいました。
「リバイバル」は藤沼の意思とは無関係に唐突に起きる現象で、これまで繰り返しそれを経験していた彼は、ナゼ自分だけこんな目にと思いつつ諦めて対応する習慣がついていたのです。
数分前のスクーターに乗って信号待ちをしていた時刻に戻った彼は、何かトラブルの原因や対象になるものが周りに無いか注意深くあたりを見回しました。
画像:映画『僕だけがいない街』公式ツイッターより
目についたのは、横断歩道を渡ろうとしている子供と、そして交差点へと走ってくるトラック。
とっさに事故が起こると見極めた彼は、子供に交差点から離れるように言いつけてから、またスクーターに乗って立ち去ります。
これでトラブルは防げたと安心したそのとき、またも「リバイバル」現象が起きて彼は交差点で信号待ちをしている状況に再度戻ってしまいます。
まだ何かが解決できていないと分かった彼は、信号待ちをしている子供に再び注意を促してから、さらに走ってくるトラックの運転席を確認したのですが。
そこでトラックの運転手が意識を失ったまま走っていることに気がつき、とっさにスクーターで並走して運転手を起こそうトラックの窓をたたく藤沼。
画像:映画『僕だけがいない街』公式ツイッターより
彼はトラックと並んだまま交差点へと向かっていき、そのため他の車にはねられてしまうのでした。
このまま死ぬのかなと思いつつ気を失った藤沼は、病院のベッドの上で意識を取り戻しました。
ベッドの脇を見ると、そこに立っていたのはバイト先のピザ屋の同僚の片桐愛梨(有村架純)。
画像:映画『僕だけがいない街』公式ツイッターより
彼女は藤沼が車にはねられるまでの様子を一部始終目撃していて、ナゼ彼が子供に注意を促したのか、そしてトラックの運転手の異常に気がついたのかと疑問を感じていたのです。
そのため持ち前の好奇心と、以前より抱いていた藤沼への微かな好意で、病院まで見舞いに来ていたのでした。
秘密を詮索されたくない藤沼は、事故の怪我が軽かったこともあり、片桐を適当にあしらってアパートへと帰ったのですが。
彼のアパートには、知らせを受けて北海道から出て来た母親の佐知子(石田ゆり子)が待っていました。
画像:映画『僕だけがいない街』公式ツイッターより
漫画家として芽の出ない彼は、その後ろめたさもあって母親を疎ましく感じるのですが、そんなことを意にも介さない佐知子はしばらくアパートに居座る気満々の様子。
仕方無く2人で買い物に出かけた藤沼は、その先で今日2度目の「リバイバル」に見舞われます。
今度は一体何なのか?原因を探す藤沼でしたが、意外にも彼が何もできずにいる間に「リバイバル」は終わってしまいます。
藤沼は戸惑って、何が「リバイバル」を終わらせたのか探そうとしますが、まったく見当がつきません。
しかし、このとき重要な“何か”が起きていたのです。
果たしてそれは、この後どんな影響を藤沼やその周りに及ぼしていくのでしょうか?
感想
これは同タイトルの漫画が原作でアニメ化もされたんですが、それぞれエンディングが異なってるんだそうで。
原作を知ってる人は、アニメ版はともかく映画版のラストには納得できないという人が多いようですね。
私は原作もアニメのほうもまったく読んでも観てもいないんですが、確かにこの映画のラストにはあまりスッキリしない印象を感じました。
もちろん元の長い話を2時間にまとめて、しかもタイムパラドックスを含む複雑な設定の説明まで盛り込んだにしては、まずまずの作品だという意見には同意できます。
ただ「リバイバル」という現象で主人公が時間を逆戻りするという設定だと、短いスパンならともかく、遠い過去まで戻ってしまうと大きなタイムパラドックスが起きるのは当然のはずで。
本作で主人公は「リバイバル」によって、自分が小学生だった頃にまで戻って過去の事件を解決しようと活躍するんですが、そうすると過去の出来事がかなり変わってしまうわけです。
読んでないので原作ではどうなっているのか分からないのですが、映画では「リバイバル」現象で主人公が過去と現在を行ったり来たりしてて、その辺のパラドックスの処理が少し雑な感じになってまして。
ラストシーンに至っても、そのパラドックスの帰結の説明はハッキリとはされないまま、しかもあまりハッピーエンドとは言えない結末になってしまうんですよね。
というわけで観終わった後に煮え切らない印象は残るんですが、とはいえ設定やストーリー展開には面白さを感じたんで、それなりの満足感はある映画でしたよ。
ただ原作の漫画を読む気のある人やアニメ版を観る気のある人は、オチを知らないほうが楽しめると思うので、この映画については観ないほうが良いのかも知れません。
漫画やアニメのほうよりも映画で楽しみたいという人だけに、おすすめしたい作品ですね。
作品データ
●監督
平川雄一朗
●出演者
藤原竜也
有村架純
石田ゆり子
●日本公開年
2016年
●上映時間
120分