こうして「希望」は託された【映画レビュー】『ローグ・ワン: スター・ウォーズ・ストーリー』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/04
劇場で映画『ローグ・ワン: スター・ウォーズ・ストーリー』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:シネマトゥデイより
あらすじ
かつて働いていた帝国軍から逃亡し、辺境の惑星ラ・ムーで妻子と共にひっそりと暮らしていた科学者ゲイレン・アーソでしたが、そこへ追っ手がやって来ます。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
惑星をも破壊する最終兵器「デス・スター」の建造のために、帝国は有能なゲイレンの技術力が必要だったのです。
観念した彼は、妻子の存在を隠して単身で戻ることを決意しますが、それに我慢できなかった妻のライラは思わず飛び出してしまい、抵抗の末に無残にも射殺されてしまいます。
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身を潜めているように両親に強く言いつけられていた幼い娘のジン・アーソだけは、ただ一人で地下シェルターに隠れていましたが、帝国軍が去った後に父の知人のソウ・ゲレラによって救出されたます。
やがて時は流れ、成長したジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)は、育ての親のソウ・ゲレラとは別れて一人でたくましく生きていましたが、今は帝国軍に捕まってしまい移送中の身。
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ところが衝撃と共に突然護送車のドアが破られ、何事か分からないまま咄嗟に飛び出して逃げようとしたジンは取り押さえられてしまいます。
それは反乱軍によるジンを救出するための作戦で、その目的は彼女を使って父であるゲイレンの情報を得ることでした。
実はちょうどその頃、ゲイレンによってメッセージを託された帝国軍のパイロットが、今は反乱軍の中でも過激派のリーダーとして名を知られるソウ・ゲレラの元に逃れて来ていたのです。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
それを知った反乱軍の主流派のリーダー達でしたが、その活動があまりにも過激なソウとはほとんど断絶状態にあり、連絡のルートさえ持っていない彼らはジンを利用することに。
ソウに育てられたジンに、彼を見つけてパイロットに託されたというメッセージを聞き出すよう依頼するのでした。
生き別れになった父に会えるかも知れないと感じたジンは、その依頼に従ってソウがいるらしい惑星ジェダへと向かうことにします。
そして反乱軍からは、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)とドロイドのK-2SOが彼女に同行。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
しかしキャシアンには、ソウの任務の手助けをするだけではなく、実は彼女も知らない非情なある指令が与えられていたのでした。
感想
本作は「スター・ウォーズ アンソロジー・シリーズ」と名づけられた、3連作を予定している「スター・ウォーズ」の外伝というかスピンオフ作品のシリーズの第1作となるモノでして。
オリジナル・シリーズの時系列で言うと、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の直前になります。
つまりこの世に「スター・ウォーズ」の映画が送り出された、まさにその始まりの物語へとバトンを渡す出来事を描いた作品なんですね。
冒頭は例の「スター・ウォーズ」シリーズ定番の、
「A long time ago in a galaxy far, far away(昔々銀河の果て、はるか彼方で)」
というフレーズが現れます。
そしていつもならここでジャーン!とあの音楽が始まって、ストーリーの導入を説明するオープニング・クロールが流れるんですが・・・この『ローグ・ワン』ではそれが無いんですよ。
そんなことは何でもないかのようにスッと物語が始まってしまうんで、観客としてはアレッ?というか肩透かしを食らったような気持ちになるんですが。
ここで、この作品が「スター・ウォーズ」のメイン・ストリームではなく、あくまでサイド・ストーリーという扱いなんだと改めて理解させる仕組みなんですね。
とは言っても、もちろんその世界や歴史としては繋がってるわけですから、お馴染みのキャラクターやアイテムなんかは登場してくるわけで、その辺は楽しませてくれます。
例えばエピソード4で登場した宇宙人がチョイ役で現れたり、C-3POとR2-D2のコンビもチラッと出てきますよ。
もちろんシリーズでは必ず誰かが口にするセリフ、
「May the force be with・・・(フォースと共にあらんことを)」
「・・・a bad feeling about・・・(悪い予感が・・・)」
も聞けますし、そして注目したいのはリアルの俳優さんとCGとの合成によるキャラクターの再現でしょうね。
一人は初代デス・スターの司令官で、本作では遅れているデス・スターの建造を急ぐように担当者に詰め寄る、怖い顔のターキン提督(グランド・モフ・ターキン)ですが、彼を演じたピーター・カッシングは20年以上前に既に亡くなってます。
そこで今回はガイ・ヘンリーが演じた映像をベースにして、CG合成で見事に亡きカッシングの姿を作り出してるんですが、違和感のほとんど無い出来で素晴らしいです。
さらにラストシーンでは、同様にして再現された若き日のあの人の姿も目にできますから、是非そこも期待して観て頂きたいですね。
ストーリーとしては、「スター・ウォーズ」シリーズのベーステーマである親子の繋がりとして、主人公のジン・アーソとその父ゲイレンとの再会を描きつつ。
さらに反乱軍と帝国軍との戦いを中心として、デス・スターの設計図を巡る攻防の物語となってます。
とりわけ終盤のクライマックスにおける、肉弾戦とも形容できる激しい戦闘シーンの描写がかなりリアルでして、戦争の非道さや恐ろしさを感じさせる映像が印象的でしたね。
タイトルの「ローグ・ワン」というのは、監督によると本作がメインストーリーとは「外れた」という意味を込めたなど、いくつかの由来があるらしいですが。
映画の中では、デス・スターの設計図が保管されている星にジン・アーソ達の宇宙船が侵入する際に、その船のコードネームとして咄嗟に「ローグ・ワン」と名乗るシーンがありまして。
指導者達の方針に逆らって、ジン・アーソの言葉に賛同した反乱軍の中の「ローグ・ワン」(ならず者)の集まりとして、まさに相応しいコードネームと言えます。
そんな「ローグ・ワン」の活躍は手に汗を握りつつ楽しむことができたのですが、この映画のラストは残念ながらハッピーエンドとは思えませんでした。
ただ本作を観て、このまま続けてすぐにでも「エピソード4」を観たいとは、心から思いましたね。
「スター・ウォーズ」ファンはもちろんのこと、シリーズを1作も観たことがない人にも、その最初の一本の導入編として観てもらいたいと思える面白い作品でしたよ。
作品データ
●原題
Rogue One: A Star Wars Story
●監督
ギャレス・エドワーズ
●出演者
フェリシティ・ジョーンズ
ディエゴ・ルナ
●日本公開年
2016年
●上映時間
133分