青春かるたドラマ【映画レビュー】『ちはやふる ‐上の句‐』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/03/30
TSUTAYA DISCASの動画配信で映画『ちはやふる ‐上の句‐』を観たので、その鑑賞記録です。
あらすじ
瑞沢高校に入学したばかりだというのに、綾瀬千早(広瀬すず)は新しく「かるた部」を設立するために部員集めに走り回っていました。
彼女の目標はこの高校で「かるた部」を作り、“かるたの甲子園”とも呼ばれる滋賀県の近江神宮で行われる全国大会に出場することだったのです。
千早の見た目の可愛らしさから、最初はすぐに男子生徒が何人も入部を希望して来たのですが、実際にかるたをやる時の彼女のあまりの気迫に恐れをなして全員逃げてしまいます。
最低でも5人は部員がいなければ部の設立は認められないため焦る千早でしたが、ほとんどの生徒達は他の部への入部を決めてしまい、「かるた部」に入りたいという人はなかなかいません。
そんなとき校舎の屋上に行った千早は、真島太一(野村周平)の姿を目にします。
二人は小学校時代の幼馴染みの間柄なのですが、頭の良い太一が名門進学校の中学に行ったため離れ離れになっていたのです。
ところが、なぜか太一は中高一貫のその学校で高校に進学することを選ばず、千早のいる瑞沢高校に入学してきていたのでした。
小学生の頃、彼も千早と一緒の「かるた会」にいたということもあり、彼女は久しぶりの再会に大喜びで太一を「かるた部」に誘うのですが、彼はサッカー部に入るとつれない返事。
しかたなく学校中にチラシやポスターを貼りまくったり、一人でかるたの練習をしている千早でしたが、そんな一生懸命な彼女の姿を見て心を動かされた太一もやがて入部を決めるのでした。
そしてさらにそこに現れたのが、小学生のときにかるたの大会で対戦したことのある、通称“肉まん君”こと西田優征(矢本悠馬)です。
彼も既に入部を決めていたテニス部をあっさり辞めて、懐かしいかるた仲間の二人に賛同して入部することに。
これで3人になりましたが、このとき他の部への入部を決めていない生徒は既に2人しか残っていませんでした。
この2人を入れないことには「かるた部」の設立はないと、まずは太一と“肉まん君”がその内の一人の駒野勉(森永悠希)への勧誘を試みます。
いつも机に張り付いて本を読んだりしてばかりで、皆から“机君”などとアダ名をつけられている駒野は、やはり最初は入部を断るのですが。
太一から、競技かるたは頭の良い人に向いてると言われ、また新入生はどこかの部に入らなければならないという規則があることから、形だけということで入部を承諾します。
そして最後の5人目は、家が呉服屋で和服や日本の古い文化をこよなく愛する大江奏(上白石萌音)という女生徒。
彼女に猛アタックした千早は、かるたで表現される百人一首の美しさのイメージを上手く利用して、なんとか説得に成功。
ようやく5人を集めることができて、「かるた部」の設立が正式に認められたのです。
こうしてそろった部員達は千早の念願の全国大会を目指し、まずは東京予選突破のために特訓を始めるのでした。
感想
原作は末次由紀さんの同名の人気少女マンガなんだそうで、競技かるたをテーマにした漫画って珍しいですが、この漫画のおかげで実際の競技かるたも認知度を上げたらしいですね。
漫画のほうでは、千早たちが小学生の頃から高校3年生までの長い年月を描いてますが、この映画ではそこから「かるた部」設立時の高校1年生のときの話を中心として作られています。
最初に主演の広瀬すずさんが登場したとき、演技が大げさで何て大根芝居だと思ったんですが。
このような青春熱血ドラマにはそういったキャラクタの表現が合っているのか、観ているうちに違和感無くその過剰な演技を受け入れることができるようになりました。
漫画が原作なので、そのせいもあるのでしょうが、各登場人物が個性豊かというかユニークな人が多いので、少しオーバーな表現というのは仕方が無い部分もあるのでしょう。
それから主役よりも脇役の部員の3人がとても良くて、それぞれの特徴が上手く表現されていて印象的に感じました。
競技かるたというものがどのようなものか知らなかったんですが、かなりハードなスポーツの要素を持っているようで、物語もいわゆるスポ根ものの展開を見せます。
チームを組んだ主人公達が互いに励ましあって試合を勝ち抜いていくという、スポ根ものとしては実にオーソドックスな話なんですが、あまりメジャーではない競技かるたの説明をしながらも面白く話を進めていくところは上手いですね。
王道なストーリーに展開の予想はついてしまいながらも、つい不覚にも涙ぐんでしまいそうになる熱血で青春なシーンもあって引き込まれましたよ。
ちなみにタイトルは「ちはやふる」ですが、物語の中では「ちはやぶる」と発音しています。
どうやらその元になる歌のほうは、時代によって濁音で発音されたり清音で発音されたりと読み方が変わって、どちらが正しいとは言えないもののようですね。
ただ現代ではタイトルどおり清音で「ちはやふる」と読むほうが一般的なんですが、競技かるたでは濁音で「ちはやぶる」と読むのが正式とのことで混乱してしまいます。
細かいようですが、登場人物が「ちはやぶる」と言うたびにチョット気になってしまいましたよ。
それはさておき、引き続き後編の“下の句”を観るのが楽しみです。
作品データ
●監督・脚本
小泉徳宏
●出演者
広瀬すず
野村周平
矢本悠馬
森永悠希
上白石萌音
●日本公開年
2016年
●上映時間
111分