時代と性別を越えて帰ってきた【映画レビュー】『ゴーストバスターズ』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2017/01/31
TSUTAYA DISCASのDVDレンタルで映画『ゴーストバスターズ』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画.comより
あらすじ
ニューヨークのとある古い屋敷は、かつて惨劇があったことで名を知られ、今では何人も見物人が訪れるオカルトスポットとして有名になっていました。
そこで働く案内人は今日も見物人を引き連れ、幽霊屋敷のいわくを説明して回っていましたが、客が帰った後に本物のポルターガイスト現象に襲われビックリ仰天。
コロンビア大学で物理学者として働くエリン・ギルバート(クリステン・ウィグ)の元へと、調査依頼に駆け込みます。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
ナゼ自分に?といぶかしむエリンに、これを見たからだと案内人が取り出したのは、彼女が著者として記された幽霊に関する本。
それは昔エリンが幽霊オタクだった頃、若気の至りで書いたものだったのですが、彼女の知らない内に書籍化されてネットで販売されていたのです。
ちょうど大学の終身雇用が決まるかどうかの審査中の身だったエリンは、彼女の黒歴史であるそんな本が人目に触れては人格が疑われると、本の共著者になっているアビー・イェーツ(メリッサ・マッカーシー)のいる大学へ急行。
アビーはエリンの古い友人で、かつては同志として一緒に幽霊について調べたりしていたのですが、今や幽霊オタクを脱却したエリンはアビーとは長く疎遠になっていました。
一方で今でも幽霊の存在を信じているアビーは、大学でジリアン・ホルツマン(ケイト・マッキノン)というエンジニアを相棒として、その研究に没頭していたのですが。
急に乗り込んできて本の販売をやめるように訴えるエリンに対して、売り上げが大事な収入源になってるから無理と連れない返事。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
ところがエリンがつい漏らした幽霊屋敷の話を耳にすると、そこへ案内するなら販売をやめてもいいと言い出し、仕方無くエリンはアビーとジリアンを引き連れて屋敷へと向かいます。
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ジリアンの開発した探知機を使って、用心深く邸内を調べる3人の前に、突然現れる女性のゴースト。
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ゴーストはエリンにスライムを吐きかけると、どこへともなく消えてしまいますが、初めて本物のゴーストを目にした3人は大はしゃぎ。
しかし、その様子を撮った映像をアビーがネットにあげ、これが学部長に見つかってしまったエリンは、科学者として不適切だと大学をクビになってしまいます。
職を失ったエリンは他に頼るあても無く、アビーのいる大学へ行くのですが、悪いときには悪いことが続くもので、アビーとジリアンも同様に大学をクビになってしまうのでした。
路頭に迷った3人でしたが、めげる間も無くお互いの資金を集めて中華料理屋の2階に事務所を構え、幽霊退治を請け負う会社「ゴーストバスターズ」を立ち上げます。
受付兼電話番として応募してきたケヴィン・ベックマン(クリス・ヘムズワース)は、マッチョでイケメンなだけのアンポンタンの役立たずで、しかも仕事の依頼は無く閑古鳥が鳴く有様でしたが。
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そこへ地下鉄職員のパティ・トラン(レスリー・ジョーンズ)がやって来て、線路上でゴーストらしき怪しいものを見たとのこと。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
エリンとアビーとジリアンの3人はゴースト退治の装備を用意して、パティと共に「ゴーストバスターズ」の初仕事へと向かうのでした。
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感想
1984年に公開された『ゴーストバスターズ』のリブート版として製作された作品ですが、そのオリジナル版を観たことがない人でも、
If there's something strange in you neighborhood, Who you gonna call? Ghostbusters!
(お隣さん、何だかおかしいぞ・・・誰を呼ぶ? ゴーストバスターズ!)
と「ゴーストバスターズ!」の名を連呼する曲を耳にしたり、例の駐禁のマークのようなロゴを目にしたことが、きっと1度はあるはずでしょう。
30年以上前の作品ですが、当時の最新のSFXを駆使して、しかもユニークなキャスティングと斬新な笑いを込めたSFコメディとして、大ヒットした有名な映画です。
とはいえ、実は私はそのオリジナル版は観たことがなくて、このリブート版を観た後に急いでDVDをレンタルして観たんですが、ベースの設定は似ていても内容は違う部分が多かったですね。
おおまかなストーリーを説明すると、3人の科学者を中心に作られた幽霊退治の会社に1人の従業員が加わって、合わせて4人で構成された「ゴーストバスターズ」達がゴーストを相手に戦うという話でして。
NYの街で暴れるゴーストたちを捕まえ、魔界と現世を繋げる門を破壊して親玉を倒し、ゴーストにとり憑かれた美女を救うという流れの物語になってます。
その後『ゴーストバスターズ2』も作られて、当初はその続編として『ゴーストバスターズ3』を製作する予定だったようですね。
ところが諸般の事情で時間が経つにつれて、主役クラスの俳優がお亡くなりになられたりなど事情が変わってきて、けっきょく続編ではなくリブートとして新たな物語を始動することになったという次第。
今回のリブート版で一番の変更点は、まず主人公のゴーストバスターズ達がすべて女性ということで、この点に納得できない心無いファンの批判をきっかけにアメリカではいろいろと問題になったそうですが。
主人公の性別や人種なんて、作品そのものが面白ければ何だって良いじゃんてなもんですけれどもね。
そしてオリジナルでは、美人のヒロイン役としてシガニー・ウィーバーが出演しましたが、本作では美女ではなくイケメン担当としてクリス・ヘムワースが登場します。
つまりは、基本的に男女逆転の設定になってるんですが、それはそれで面白いですし、さらに演出上でも上手く機能しています。
というのも、メインのキャストが人気のコメディエンヌ揃いで、そのセリフにゲスい下ネタジョークがけっこう出てくるんですね。
これを男がやると、それこそゲスさが強すぎて嫌味になってしまうところなんですが、女性がやることによって拒否反応無く笑いとして受け止めることができます。
それから、最近では「マーベル」映画の「マイティ・ソー」の役なんかで、マッチョな男前のイメージが強いクリス・ヘムワースも、かなり良い味出してまして。
顔だけ良くて頭パッパラパーの役なんですが、これも女性がやると印象悪いだけでしょうが、本作での彼は可愛げがあってナゼか好印象を感じさせられますよ。
ストーリーを通して完全に役立たずで迷惑なだけなんですが、一周回って何だか愛らしいという得な役どころです。
もう一つのリブート版の大きな変更点は、やはりゴーストたちとの戦いを描いたシーンでしょうね。
オリジナル版では、ラスボスが出てからは割とアッサリとした短いシーンでラストを迎えるんですが、今回は対ゴースト用のガジェットも種類を増してますし、それらを使った戦いもシッカリ時間をとった演出になってます。
しかも、当然と言えば当然ですが、30年以上前のSFXなんか足元にも及ばないCGによる映像表現がスゴくて、これを劇場で3Dで観る機会を逃したことをとても後悔しましたよ。
もちろん、変更点や違いは多くありながらも、やはりオリジナル版へのリスペクトも忘れてませんから、ファンサービスと言えるシーンもたくさん用意されてます。
例えば、オリジナルで登場した「ゴーストバスターズ」の本拠地の元消防署の建物や、ナンバープレートに「ECTO-1(エクトワン)」と書かれた専用車両も登場しますし。
さらには以下のように、オリジナル版キャストのカメオ出演まであるので、要チェックですね。
- ビル・マーレイ:ゴースト否定派の学者のマーティン・ハイス博士として、TVのインタビュー番組や「ゴーストバスターズ」の本拠地に乗り込んで来るシーンで登場。
- ダン・エイクロイド:妙にゴーストについて詳しくて、乗車拒否するタクシー運転手として登場。
- ハロルド・ライミス:エリンの大学の廊下にある胸像として一瞬登場。
- アーニー・ハドソン:パティに「ECTO-1(エクトワン)」の元となる霊柩車を貸した、葬儀屋のビルおじさんとしてラスト近くで登場。
- シガニー・ウィーバー:パティの恩師のレベッカ・ゴーリンとしてラスト近くで登場。
- アニー・ポッツ:ホテルのフロント係として登場。
- マシュマロマン:バルーンの一つとして登場。
- アグリー・リトル・スパッド(スライマー):言及の必要も無いくらい目立つ活躍で登場。
こうした点がオリジナル版のファンを楽しませつつ、もちろん私のように『ゴーストバスターズ』初体験の人でも十分に楽しめる作品になってましたよ。
男女逆転設定については、何でもかんでも女性を主役に変えてリブート作が作られるような時代になったりしたら、それはご勘弁願いたいですが。
本作については、下品な『チャーリーズ・エンジェル』風『ゴーストバスターズ』といった趣で、良いんじゃないでしょうかね。
とりあえず私はこれから、引き続いて『ゴーストバスターズ2』をレンタルしてきて観ようと思います。
そして、本作の続編も期待してますよ。
作品データ
●原題
Ghostbusters
●監督・脚本
ポール・フェイグ
●出演者
クリステン・ウィグ
メリッサ・マッカーシー
ケイト・マッキノン
レスリー・ジョーンズ
クリス・ヘムズワース
●日本公開年
2016年
●上映時間
116分