必見の傑作!和製ゾンビ作品【映画レビュー】『アイアムアヒーロー』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2017/05/24
TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『アイアムアヒーロー』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画.comより
あらすじ
売れない漫画家の鈴木英雄(大泉洋)は、出版社への持込みのための原稿を描きつつ、漫画アシスタントの仕事でなんとか生活をしていました。
同棲している徹子(片瀬那奈)には愛想をつかされていますが、次こそは必ず連載をもらえると希望を捨てず今日も出版社を訪ねます。
しかし編集者の反応は良くなく、「主人公がね・・・普通なんですよ」とやはり採用にはならない様子。
偶然やって来た、同期で売れっ子漫画家の中田コロリ(片桐仁)の羽振りの良さと自分の境遇をつい比べてしまって、落ち込む鈴木でした。
成果も無く帰ってきた彼を安アパートの部屋で迎えた徹子は、ついに我慢の限界を迎えて彼の甲斐性の無さを責めたてます。
あげくに部屋にある鈴木の大事にしている漫画や、新人賞でもらったトロフィー、そして彼の唯一の趣味でもあり特技でもあるクレー射撃の銃まで捨てようとするのでした。
なんとか彼女をなだめて止めようとする鈴木でしたが、けっきょく大事な銃を抱えたまま部屋の外へ追い出されてしまいます。
行き場の無い彼は仕方無くアシスタントの仕事場に戻って夜を明かしますが、そこへ徹子から戻ってほしいと謝罪の電話がかかってきました。
体調の悪そうな彼女の電話の声に、心配になった鈴木は急いでアパートへと帰りますが、ドアを叩いても返事が無く、どうも様子が変です。
おかしいと思った彼が、ドアの郵便受けの隙間からのぞいてみると、中では人間とは思えない動きをする徹子が暴れまわっていました。
しかも鈴木に気づいた彼女は、既に人間ではなくなった恐ろしい化け物の形相で彼に襲い掛かってきたのです。
恐怖に駆られた鈴木は、揉み合っている内にはずみで彼女を死なせてしまい、パニックに陥ったまま仕事場へと戻りますが、そこもいつもとは違う恐ろしい状況に。
同僚アシスタントの一人は血まみれで息絶えており、もう一人は血のついたバットを握って常軌を逸した目をして立っていたのです。
さらに彼は鈴木の見ている目の前で、様子のおかしくなった顔で部屋に入ってきた漫画家の先生を撲殺し、自らも次第に人間ではないモノの形相へと変貌していったあげく、ナイフで喉をかき切って自殺したのでした。
慌てて外へと逃げ出した鈴木でしたが、街も既に異常なパニックに包まれていて、逃げ惑う人々や狂ったように走って人をはねる車などが溢れています。
どうにかこの場を離れようと、停まっていたタクシーに乗り込んだ鈴木は、同じように助けを求めて来た女子高生の早狩比呂美(有村架純)と同乗することに。
さらに後から来て車に乗った官僚らしい男は、しかし次第に異常な形相に変貌し始め、ついには車内で運転手や鈴木に襲い掛かります。
どうにか鈴木がその男を撃退して車から外へと突き落としたものの、彼に噛み付かれた運転手までもが狂ったように発作を起こし、アクセルを踏み込んだせいで車が暴走。
とっさにシートベルトをした鈴木と比呂美は、そのおかげで事故を起こして横転した車の中で、幸運にも無傷で助かります。
しかし車から這い出た彼らの目の前には、同じように事故を起こしたり運転手がいなくなったりして動きを止めた車の列が延々と続いていたのでした。
画像:映画『アイアムアヒーロー』公式ツイッターより
そしてスマホでネットの情報を調べた彼らは、日本のいたるところでこの状況が起こっていて、異常な様子に変わった人たちが「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれていることを知ります。
しかも「ZQN」は噛みつくことで正常な人間を感染させ、次々にその存在を増やしているようでした。
この狂った事態から脱出するべく、鈴木と比呂美は二人で、ネットの情報で感染者が少ないと言われる富士山を目指すことに。
果たして二人の行く先に希望はあるのか、そして感染の広がる世界はどうなっていくのか・・・
画像:映画『アイアムアヒーロー』公式ツイッターより
感想
人気のマンガを原作とした作品ですが、2009年から始まったマンガのほうも今年ついに完結したとのことで話題になりました。
この映画のほうは、マンガの初期のストーリーを短くまとめて舞台を現代に置き換えて描いてまして、キャラクターの描写も多少違ってるようですね。
とはいえ原作ファンにも評判が良くて、広く一般的にもヒットしたようで、マンガ原作の映画としては珍しく大成功した作品のようです。
実は私はマンガのほうは読んだことがなくて、ゾンビ映画っぽい作品だろうという前知識程度で観たんですが、感心するくらい面白かったです。
もしも本作についてまったく知識がない人は、そのまま事前情報には一切触れないで観たほうが、楽しめるんじゃないかと思いますよ。
ですから、そういう人はすぐさまこのブログから離れて、DVDなり動画配信なりで観ることをオススメしたいところなんですが、既に当ブログで「あらすじ」を読んでしまっているかも知れませんね。
というわけで、ゴメンナサイとしか言えませんが、とりあえず本作が気になったら余計な情報は得ないままで早めに見ることです。
そんなふうに私が言いたくなるくらい、かなり面白い映画なんですよ、コレ。
私は洋画・邦画を問わずゾンビ映画はほとんど観ないんですが、それは怖いものが嫌いというよりも、そのレベルの低さを予想してしまって興味を持てなかったんですよね。
だって、ステレオタイプのゾンビたちがウロウロ歩き回って人を襲うとか、マイケル・ジャクソンの『スリラー』のPV程度のイメージしか思い浮かばないんです。
そうは言っても、洋画なら『バイオハザード』のシリーズなんかは好きですし、『ワールド・ウォー・Z』なんかも面白く観たりはしましたよ。
ですから作品によっては楽しめるとは思うんですが、それはハリウッドレベルの予算でタップリお金をかけたゾンビ映画に限ると思ってたんです。
日本のショボイ映画で、幽霊の出来損ないのようなゾンビが出てきたところで噴飯モノだと思ってたんですよ。
ところがこの『アイアムアヒーロー』を観て、その考えが既に古いものだということを思い知りましたね。
日本のゾンビ映画として、これほどまでのモノが作れるようになってたとは驚きです。
というか、海外のゾンビ映画に負けてないどころか、むしろ上回ってるんじゃないかとさえ思いますよ。
つまり海外のゾンビって、死人というよりもモンスターじみてるじゃないですか。
それに対して本作のゾンビは、ホントに死んだ人が動き回ってる感があって、「うん、これこそゾンビのあるべき姿だ」と心底納得してしまいました。
そして出演者の中では、主演の大泉洋さんがすごく良い!
主演だから当然とも言えますが、本作は「大泉洋による大泉洋のための映画」と言っても過言ではないくらい、大泉洋さんが光ってるんですよ。
実のところ私は有村架純さんが好きなので、彼女の出演シーンに対して重点的に期待を抱いてたんですが、有村架純さんは完全に脇の脇の脇役でした。
その活躍シーンはほとんど無かったので、それはそれで悲しむべきことなんですが、その悲しみを癒してくれるくらい大泉洋さんが良かったので全てを許す気になれましたよ。
映画のラストは、もしかして続編が作られるかも?といった期待を持たせる終わり方だったんですが、後で原作のストーリーをちょっと調べてみたら、コレはコレで終わりにしたほうが良いような気がしました。
というのもメイン級の登場人物がやたら増えて、TVドラマならシーズン2とかシーズン3とかできそうですが、映画だと続編として作っていくのはかなり難しそうなんですよ。
しかも原作の結末は少し中途半端な終わり方ということで、かなり評判が良くないらしいので、この映画はこれで終了としても観客としては十分満足なんじゃないでしょうかね。
でも万が一、もしも続編が作られるとしたら、次こそは有村架純さんに活躍して頂きたいと私は切に願うのでした。
作品データ
●監督
佐藤信介
●出演者
大泉洋
有村架純
長澤まさみ
片瀬那奈
●日本公開年
2016年
●上映時間
127分