1年以上も謎の日本公開延期?【映画レビュー】『ミケランジェロ・プロジェクト』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/02/11
TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『ミケランジェロ・プロジェクト』を観たので、その鑑賞記録です。

(画像:ミケランジェロ・プロジェクト日本公式サイトより)
あらすじ
第二次大戦中のヨーロッパでは、戦闘による爆撃やドイツ軍による略奪のために、破壊されたり所在が分からなくなる美術品が数多くありました。
このことを憂慮したハーバード大学付属美術館の館長フランク・ストークス(ジョージ・クルーニー)は、美術品を救出・確保するように大統領に直訴します。
ようやく大統領の承認を受け、作戦実行のための部隊を指揮するように要請されたフランクは、美術品に詳しい専門家6人にコンタクトをとってイギリスへ。

(画像:ミケランジェロ・プロジェクト日本公式サイトより)
イギリス軍の基地に集まったフランクを含め7名の部隊「モニュメンツ・メン」は、軍事訓練を受けながら情報を集め。
そして、メンバーの一人ジェームズ・グレンジャー(マット・デイモン)は、仲間と別れてパリの国立美術館館長に会うために飛行機で出発します。
残る6人は美術品の確保のためにノルマンディーへと渡りますが、美術品よりも戦果や兵士の命を優先する将校たちからは、けんもほろろの対応で協力を得ることができません。
仕方なく少人数で手分けして、わずかな情報を元に絵画や彫像の捜索と確保に向かいますが、ドイツ軍の手にかかり命を落とす仲間も。
一方フランスに渡ったジェームズは、ドイツ占領下のパリで将校の秘書として働かされていた、クレール・シモーヌ(ケイト・ブランシェット)という女性に接触します。

(画像:ミケランジェロ・プロジェクト日本公式サイトより)
彼女はドイツ軍に略奪された美術品について情報を持っているようなのですが、連合軍に対しても不信感を持っているせいで、ジェームズにもなかなか心を開こうとしません。
そんな中、戦況はますますドイツ軍の敗戦へと傾いていき、ついに窮地に追い込まれたヒトラーによる美術品の破壊・焼却命令(ネロ指令)が発動されてしまいます。
果たしてフランクたち「モニュメンツ・メン」は、戦火の中で失われていく貴重な美術品を救うことができるのでしょうか?
感想
この映画は実話をベースにして製作されたもので、実際に数々の有名な芸術作品が今も残っているのは、「モニュメンツ・メン」のおかげなんだそうです。
製作に携わったアメリカ人としては、この「モニュメンツ・メン」は歴史に埋もれさせておくには惜しまれる、誇らしい存在でしょうから。
おそらく、日本人が“大戦中に大勢のユダヤ人を助けた日本人大使”を映画にしたのと、同じような思いで作られた作品なのでしょうが。
できあがった作品を比べると、こちらは対照的にコミカルなシーンが多いのは、日本人とアメリカ人の国民性の違いといったところでしょうかね。
ただ、そんな笑いもある軽いストーリー展開が、かえって映画のテーマを中途半端にしているような気もします。
さらに、たくさんのエピソードをギュッと詰め込んで、スピード感のある場面転換で一気にお話を進めたような演出なので。
それがテンポの良さよりも、観終わった後の物足りなさを感じさせてしまってる印象もあります。
とはいえ、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェットなど、監督のジョージ・クルーニーの声がけで集まった豪華キャストを見るだけでも楽しめる映画とも思われ。
それから有名な名画や彫像もいくつか出てきますから、美術品ファンの人なら、その辺も楽しめるのではないかと。
ちなみにこの映画は、アメリカで2013年の末での公開予定が2014年の2月に延期され、日本での公開も2014年の秋を予定しながら一時は中止となり、前売り券の払い戻しまでされたのですが。
1年以上経った2015年11月にようやく公開になりつつも、その延期の理由については詳しい事情は発表されずじまいという謎な作品なんですね。
一部では、「ナチによって略奪された美術品を今も所有する団体から圧力がかかったのでは?」等の噂がまことしやかに流れましたが、真相については不明のままです。
作品データ
●原題
The Monuments Men
●監督・出演
ジョージ・クルーニー
●出演者
マット・デイモン
ビル・マーレイ
ケイト・ブランシェット
●日本公開年
2015年
●上映時間
118分