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部屋に閉じ込められた親子の愛!【映画レビュー】『ルーム』あらすじ&感想(ネタバレ無し)

2020/04/02

TSUTAYA DISCASのレンタルDVDで映画『ルーム』を観たので、その鑑賞記録です。

映画『ルーム』

画像:GAGA公式ツイッターより

あらすじ

ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は、ママ(ブリー・ラーソン)と二人きりで小さな部屋で生活していました。

毎日ママと一緒に体操や運動のような遊びをしたり卵の殻でヘビを作ったりして、彼はこの母と子だけの世界で幸せを感じて暮らしていたのです。

映画レ『ルーム』

画像:映画『ルーム』日本公式サイトより

彼にとっては、このたった一つだけの部屋が世界のすべてで、部屋の中の電気スタンドや椅子や戸棚が友達。

自分以外の人間はママと、ママがオールド・ニック(英語の俗称で悪魔)と呼ぶ男だけしか知りません。

そうです、ジャックには分かっていませんでしたが、ママとジャックはこの部屋の中に長い間閉じ込められていたのです。

実はママが17歳(原作では19歳)のときにオールド・ニックによって誘拐されて、それから7年もの間この部屋から一歩も出ることを許されていなかったのでした。

ジャックはママが監禁されてから2年目に生まれた子で、それから5年の生涯を一度も外へ出ることなく、外界を知らずにこの部屋で過ごしているのです。

あるとき食料が足りないと不満を言ったママに、「6ヶ月前に職を失って買い物をする金にも困っているのに我がままを言うな」と声を荒げるオールド・ニック。

そしてついには電気まで止まってしまった状況に、凍えるような部屋で自分達の命の危うさを感じたママは決心してジャックに語り始めます。

映画『ルーム』

画像:映画『ルーム』日本公式サイトより

その話はママの名前が“ジョイ・ニューサム”であるということから始まって、自分が誘拐されたことや自分のママやパパつまりジャックの祖父母のこと、そしてジャックの知らない外の世界のことにまで及びました。

しかしそれはジャックにとって初めて聞く話で、これまでのママの話とは違う信じられないことばかりの内容に、彼は混乱して嘘つきと言ってママを責めることしかできませんでした。

それでも時間が経って落ち着いてきたジャックは、ママの言葉がゆっくりと染み込んでいくように分かってきました。

いや実際には分かったわけではなく、ただ天窓の外から差し込む光やTVの中の世界に対して無意識に持っていた疑問に、うっすらと答えを感じとったと言うべきでしょう。

映画『ルーム』

画像:インターネット・ムービー・データベースより

そんなジャックを見たママは、ついにここを脱出する決意を固めます。

かつてそれを試みたこともあるのですが、そのときはオールド・ニックに酷い目にあわされて、それ以来逃げ出すことを諦めていました。

でも今はジャックがいて、せめてこの大切な子供だけでも助けたいと願う強い母の思いが、彼女の背中を押したのです。

まず最初にジャックが病気になったと言って、オールド・ニックに彼を病院へと連れて行かせようとしますが、それは失敗に終わります。

そして今度はジャックの病気が悪化して死んでしまったことにして彼を絨毯にくるみ、絨毯ごと死体としてオールド・ニックに外へと運ばせる作戦を考えます。

自分の身の安全を捨てた彼女の鬼気迫る様子に、最初は怖がって嫌がるジャックでしたが、ついには死体のふりをして絨毯にくるまれた彼をオールド・ニックは外へと運び出したのでした。

感想

この作品は、「フリッツル事件」と呼ばれるオーストラリアでの24年にも及ぶ長期間の実娘への監禁と虐待の事件から着想して書かれた、「部屋」という小説をベースにして作られたものです。

映画の脚本も、「部屋」の原作者が務めているんですね。

話の始まりは、2人の仲の良い親子が貧しい中で普通に幸せに暮らしているようにしか見えませんでした。

でも次第に母親の中にある一種の狂気のようなものが感じられてくるのは、その役を演じるブリー・ラーソンの目の演技力によるものでしょうね。

人は長期間にわたって理不尽な環境に置かれ続けると、自分の中に感情や意識を押し込めて、仮面をかぶったみたいに生きるようになってしまいます。

そういう少し精神に異常をきたしてしまった人間の様子を、とても上手く演じているように感じられましたよ。

さらにジャックを演じる子役のジェイコブ・トレンブレイが、すごいんです。

彼は物語の中で、5歳になるまで部屋に閉じ込められていながら話の中盤でそこを抜け出すことができるんですが、その心の動きや外の世界に初めて出会ったときの表情なんかが秀逸です。

それからこの話はジャックが部屋を抜け出したところで終わるのではなく、そこからがまた大変で、こういった世間を騒がせるような事件の被害者がどうなっていくのかまで描いていきます。

ただそれは事件の悲惨さを訴えるのではなく、親子の愛や、苦しみや絶望の中からも強く立ち上がっていく人間の強さを表現しているモノのように感じられましたよ。

作品データ

●原題
Room

●監督
レニー・エイブラハムソン

●原作・脚本
エマ・ドナヒュー

●出演者
ジェイコブ・トレンブレイ
ブリー・ラーソン

●日本公開年
2016年

●上映時間
118分

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