さよならアリス【映画レビュー】『バイオハザード:ザ・ファイナル』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
2020/04/04
劇場で映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:シネマトゥデイより
あらすじ
それは、まだ世界にアンデッドが生まれてなかった頃のこと。
アンブレラ社の創設者の一人であるジェームズ・マーカス博士には、アリシアという一人娘がいましたが、彼女は体の老化が急速に進む難病にかかっていました。
娘の病気を治療するために彼は、バイオテクノロジーによってTウィルスという人工の病原体を開発します。
しかしそれは、傷ついた細胞を修復し老化を抑制する効果と同時に、感染者を不死の食人鬼アンデッドに変える恐るべき副作用を持っていました。
危機感を抱いたマーカス博士はTウィルスの開発中止と破棄を決めますが、その利用に野心を抱いたもう一人の会社創設者であるサミュエル・アイザックス博士に殺されてしまいます。
会社を乗っ取ったアイザックス博士はTウィルスの開発を続け、やがてそれを使った「ノアの方舟」の再現ともいえる、増えすぎた人類の粛清を企てたのでした。
そして時は流れて、現在のワシントンD.C.。
廃墟となったホワイトハウスで、アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は目を覚ましました。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
途方もない数のアンデッド達との死闘の末、彼女は気を失っていたようです。
生き残った仲間はいないかと瓦礫の中を探す彼女は、水中から襲い掛かってきたアンデッドや、ドラゴンのような羽で飛翔する巨大な怪物達を倒しながら歩き回る内に建物の中へ。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
そこで目にしたのはディスプレイに浮かび上がる赤い少女の姿、幾度となくアリスを苦しめた、あのアンブレラ社のAI少女レッド・クイーンでした。
ところが彼女が口にしたのは、アリスが予想だにしない言葉だったのです。
「この地上に辛うじて生き残っている約4千人の人類を救うことができるのは、アリス、あなただけなのよ」
画像:インターネット・ムービー・データベースより
レッド・クイーンによると、ラクーンシティの地下施設ハイブにTウィルスを駆逐できるアンチウィルスがあって、それを手に入れて48時間以内に散布しなければ人類は滅亡するとのこと。
人類を守るというプロトコルがありながらも、アンブレラ社に属する社員を傷つけることはできないように自らをプログラムされたレッド・クイーンは、密かにその希望をアリスへと託したのです。
半信半疑ながらもその情報に賭けてみる決意をしたアリスは、まさに彼女の戦いが始まった地であるラクーンシティへ戻って行くのでした。
感想
2002年から始まり、10年以上の長きにわたって続いた映画『バイオハザード』のシリーズも、6作目にしてついに完結ということで感慨深い気もする本作。
4年前に公開になった前作『バイオハザードV リトリビューション』では、氷に覆われたアンブレラ社の実験施設から、敵であるはずのウェスカーの手引きによって救出されまして。
ワシントンD.C.のホワイトハウスで、Tウィルスの注射によって失った超人的能力を取り戻したアリスが、周りを埋め尽くすアンデッドの大群を見回すというラストシーンで幕切れとなりましたが。
今回はその続きでありながら、既にホワイトハウスは廃墟となり、あれほどいたアンデッド達もほとんどいなくなったところから話が始まってます。
これは、前作から本作の冒頭までの出来事を端折った構成のせいらしくて、その省略部分はノベライズ版の『バイオハザード ザ・ファイナル』に詳しいとのこと。
気になる人はソチラを読んでくださいということでしょうが、まぁそういったストーリーの整合性というかツジツマを気にする必要があるタイプの映画じゃないですからね。
よく考えるとアレコレ疑問が噴出してしまうような、ご都合主義満載の『バイオハザード』シリーズにストーリーの詳細なんて二の次三の次なんです。
いちおう簡単に説明すると、ホワイトハウスでの戦いに勝利するもののアリスの仲間は全滅、前作で助けたクローンの娘のベッキーは行方不明に、そしてアリス自身は身体的な超人性は残しつつも超能力を失ってしまいます。
さらに、実はアンブレラ社内での敵対者が自分の命を狙って差し向けたアンデッド軍団を倒すためにアリスを利用しただけだったウェスカーは、目的を果たすとすぐにラクーンシティのハイブへと戻っていったという次第。
というわけで、本作のアリスは仲間も無く一人ぼっちで、超能力は使えませんが人並みはずれた回復力と戦闘力を持ち、そして前作で味方になったかに思えたウェスカーはやっぱり敵だったという始まりになってます。
それから話題になったローラの出演ですが、アリスがハイブへ乗り込む途中で出会って仲間になった人達の内の一人として登場してます。
大口顧客の日本へのサービスと言うか話題作りのために選ばれたキャストとして、やはり登場シーンは短くてすぐに死んでしまいますから、ウッカリしてると気づかない恐れがあるので注意して観る必要がありますよ。
今回がラストということで、Tウィルスの起源やアンブレラ社の目的など、いろいろ取って付けたような設定が判明するストーリーになってまして、気になる部分はあれどソレはソレで良しとしましょう。
何より楽しむべきは、やっぱりアクションシーンですね。
ちなみに今回は3Dで観たんですが、2Dを撮影後にコンバージョンして3Dにしたとのことで、せっかくのアクションシーンも立体感の乏しい映像のように感じられたのは残念でしたが。
既にアラフォーのミラ・ジョヴォヴィッチが、年齢を感じさせない切れ味で戦闘シーンを演じてまして、そのカッコ良さにしびれますよ。
そして映画『バイオハザード』を観続けてきた人にとっては、始まりの始まりであるラクーンシティのハイブが舞台ということもあり、懐かしさを感じるシーンやアイテムも登場するので、その辺も楽しめますね。
もちろんシリーズを1度も観たことない人でも、割と親切に説明してくれるシーンも多いんで、十分に楽しめるかと。
というわけで良きにつけ悪しきにつけ、続編が公開される度に楽しませてもらった『バイオハザード』シリーズも、これで最後かと思うと残念な思いもありますが、とりあえず区切りが付いて良かった気もします。
まさか「リブート」とか銘打って、登場人物を変えて復活したりしないよね・・・アンデッドの映画なだけに蘇るとか?
作品データ
●原題
Resident Evil: The Final Chapter
●監督・脚本
ポール・W・S・アンダーソン
●出演者
ミラ・ジョヴォヴィッチ
●日本公開年
2016年
●上映時間
106分