これぞ怪獣映画だ【映画レビュー】『キングコング:髑髏島の巨神』あらすじ&感想(ネタバレ無し)
劇場で映画『キングコング:髑髏島の巨神』を観たので、その鑑賞記録です。
画像:映画.comより
あらすじ
第二次世界大戦のさなか、南太平洋の島に墜落した飛行機から脱出した米兵は、同じく墜落によって島に降り立った日本兵に追われていました。
お互いに弾が尽きるまで銃を撃ち合い、米兵は森の中を日本刀を振りかざして追いかけてくる日本兵から逃げ続けますが、やがて崖の端にまで追い詰められます。
しかし、取っ組み合いになって相手を倒そうと争う二人は、ふいに同時に動きを止めます。
なぜなら彼らの前に、崖の端から突き出した黒山のような頭と、彼らを見つめる巨大な二つの目が現れたからでした。
それから時が経ち、約30年後のアメリカ。
成果の上がらない研究機関として予算削減の瀬戸際に立たされた「MONARCH(モナーク)」の主任研究員ランダ博士(ジョン・グッドマン)は、必死に上院議員を説き伏せようとしていました。
衛星写真が捕らえた未知の島「髑髏島」に人類のまだ知らない生物がいるとにらんだ博士は、その調査費用として機関に対する予算がどうしても必要だったのです。
初めは渋っていた議員でしたが、冷戦中のソ連もやがて島を発見して調査の手を伸ばすに違いないという博士の主張に、ソ連に先駆けて島の資源調査をするという条件でようやく首を縦に振ったのでした。
こうしてランダ博士を中心として、「髑髏島」の調査隊が結成されることになります。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
その護衛のために呼ばれたのは、アメリカがベトナム戦争からの撤退を宣言し、ちょうどダナンの基地から帰還するところだったパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)の部隊。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
何人も部下を失いながら何の戦果を挙げられないまま帰還を命ぜられ、このまま母国へは帰るに帰れない気持ちでいた大佐は、この命令に救われた思いで応じます。
さらに案内役として元特殊部隊隊員のコンラッド(トム・ヒドルストン)や、女性カメラマンのメイソン・ウィーバー(ブリー・ラーソン)なども加えて、一行は船で島へと旅立ったのでした。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
しかし彼らがたどり着いた島は、まるでそれを守るかのように吹き荒れる暴風圏に周りを囲まれていました。
仕方無く船での着岸を諦めて、パッカード大佐の部隊によってヘリによる移動を決める調査隊。
数機のヘリに分かれて乗り込んだ調査隊のメンバー達は、荒れ狂う暴風域の壁をくぐり抜けてようやく島へとたどり着きます。
そしてまずやったのは、島の地殻調査のためのヘリからの爆弾の投下。
これは爆発による地殻への振動の伝わり方を調べることによって、その状態を分析するための方法なのですが、それはまるでいたずらに島を攻撃しているかのようにも見える調査でした。
そうして、次々に爆弾を投下しながら飛ぶ調査隊のヘリでしたが、彼らの行く手は突然阻まれることになります。
目の前に現れたのは、山のように立ちはだかる巨大な猿でした。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
その目は怒りと敵意に燃え、信じられない光景にパニックを起こした人間達を気にも留めることなく、その拳がヘリを叩き落していったのです。
慌てて攻撃態勢をとろうとしたパッカード大佐の部隊でしたが、ヘリからの銃撃などものともせず巨大な猿は次々にヘリを地面へと叩きつけ、ついには全機が墜落。
多くの隊員を失い、辛うじて生き残った人たちも移動手段を失って、徒歩で島を脱出するしか方法は無くなってしまいます。
画像:インターネット・ムービー・データベースより
しかしそれは、彼らが予想もできない恐ろしい地獄の道のりの始まりでした。
なぜなら島にいたモンスターは、巨大猿だけではなかったからなのです。
感想
「キングコング」が初めて映画として登場したのが1933年ですから、80年以上前になるんですね。
そんな長い歴史を持つ「キングコング」ですが、実は私は「キングコング」系の映画をちゃんと観た記憶がないんですよ。
所詮はデカいお猿さんが暴れるだけの話でしょみたいな印象がありまして、「ジュラシックなんとか」のモンキーバージョン程度にしか思ってませんでしたから。
「ジュラシック」はいろんな恐竜が出てくるところが楽しいですが、いくらデカいといってもお猿さんなんか目新しくもなんともないという偏見を持ってたんです。
ですから、1900年代の古い「キングコング」作品はもとより、直近の2005年の『キング・コング』も観たことなかったんですが。
今回は、ただのお猿さん映画ではないとのことで、映画館へと足を運んでみることにしたという次第。
というのも、2014年に公開された『GODZILLA(ゴジラ)』から始まる「モンスターバース」のシリーズの第2作目がこの『キングコング:髑髏島の巨神』とのことで。
つまり本作の「キングコング」はただのデカいお猿さんではなく、ゴジラと同じ世界観の中で登場した、まさしく怪獣としての「キングコング」なわけです。
というわけで劇場で鑑賞したんですが、やっぱり行って良かったですね。
さすがに近年の映像技術はすすんでまして、それによって描き出された「キングコング」の迫力は想像をはるかに超えてましたよ。
さらには他にも何種類かのクリーチャーが出てくるんですが、それらもユニークであり恐ろしくもあり、怪獣映画として楽しみどころ満載な仕上がりでして。
そして最後の最後で、前述の「モンスターバース」のイメージを強烈に印象付けるワンシーンと、加えて一つの音声を耳にすることができるんです。
音声と言うか、とどろく鳴き声というか咆哮というか、とにかく嬉しさと今後のシリーズの展開に対する期待で鳥肌がたつ思いでしたね。
登場する役者さん達も、あの人がこんな役を?というような配役もありまして。
例えば、調査隊の案内役のコンラッドを演じるトム・ヒドルストンは、最近ではマーベル映画の「マイティーソー」シリーズで登場したロキの役が記憶に新しいですが。
あのヒョロっとした陰気な様子の役とは違って、本作ではガッチリした体つきのワイルドな男を演じてまして、同一人物とは思えない演技が良かったですね。
それから女性カメラマンのウィーバーを演じるブリー・ラーソンは、以前鑑賞して記事にもした『ルーム』でのお母さん役が強く印象に残ってますが。
今回は「キングコング」では必須の、コングと心を通わせるヒロインを演じてまして。
とはいえ本作のコングは、それほどヒロインに気持ちを奪われるという様子ではなく、ちょっとだけ優しいかなという程度でロマンスっぽい演出は無いんですよね。
やはり、ゴジラと並んで怪獣映画のモンスターという役どころにあるコングということで、あまりヤワなキャラクターを感じさせる描写は控えたのでしょう。
さらに、やたらと最近いろんな映画に登場してるような気のするサミュエル・L・ジャクソンが、調査隊の護衛役を務める部隊の隊長の役をやってます。
この人は、異星人とかモンスターとか超能力者が現れるところには必ず顔を出すイメージですが、今回はまた一段とアクの強い役を演じてまして。
「コング vs. 人」という構図を表すための、重要なポジションを担ってますよ。
といったところで、少しでもゴジラに関心のある人ならもちろんのこと、ゴジラを観たことない人でも十分に楽しめますので、怪獣映画好きの人なら是非とも押さえておくべき作品かと。
作品データ
●原題
Kong:Skull Island
●監督
ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
●出演者
トム・ヒドルストン
ブリー・ラーソン
サミュエル・L・ジャクソン
ジョン・グッドマン
●日本公開年
2017年
●上映時間
118分